横浜交通事故強い弁護士《クロノス総合法律事務所》|交通事故の慰謝料・賠償・後遺障害の相談

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死亡事故 | 【公式】横浜の交通事故に強い弁護士《クロノス総合法律事務所》

年末は酔っぱらって道路に寝ている人が車に轢かれる交通事故が多くなる

年末になると職場の忘年会などでお酒を飲む機会が多くなります。ほどほどに飲むのであればいいですが,飲みすぎてしまうと終電で乗り過ごしてしまって無駄なタクシー代を使ったり,帰れなくてホテルに泊まったりすることもあるので,お酒の飲みすぎには気を付けたいですね。

 タクシーを使ったり,ホテルに泊まったりして無駄なお金を使ってしまっただけなら笑い話になりますが,酔っぱらって道路に寝てしまって車に轢かれてお金よりも大事な体や命を失ってしまったら笑えません。

でも,年末になると酔っぱらって道路に寝てしまって,車に轢かれてしまい大怪我をしたり,命を落としてしまう人が多くいらっしゃいます。

 先ほど見ていたニュースでも忘年会の帰りに酔っぱらって道路に寝てしまい車に轢かれて亡くなってしまったというニュースが流れていました。

当然,こんなことで亡くなってしまったご本人もやるせないですが,ご家族はもっとやるせない気持ちになるので,酔っぱらって道路に寝てしまうことだけは絶対に止めましょう。

酔っぱらって道路に寝ていた人を轢いてしまった運転手にも民事上の責任は認められます!                                 

 酔っぱらって道路に寝ていた人を轢いてしまった運転手の責任はどうなるのでしょうか?

酔っぱらって寝ていた方が悪いのだから運転手が刑罰に問われることはないのでしょうか?

また,民事上も酔っぱらって寝ていた方が悪いのだから運転手が賠償責任を負うことはないのでしょうか?

 酔っぱらって寝ている人を見落として轢いてしまった運転手にも過失がありますので,刑事では過失運転致死傷罪の責任が問われる可能性があります(もっとも被害者の過失も大きいので,罰金や不起訴処分で終わる可能性が高いと思いますが)。

一方,民事では,やはり運転手にも過失がありますので,事故の責任が認められ賠償責任を負うことになります。

ちなみに,人身事故の場合,自動車損害賠償保障法(自賠法)3条で,運行供用者(運転手や自動車の所有者など)が自動車の運転によって他人の生命,身体に損害を負わせた場合,原則として,運行供用者が事故の責任を負うとされています。

そのため、よほどのことがない限り,酔っぱらっている人を轢いた運転手の民事上の責任が否定されることはありません。

酔っぱらって道路に寝て事故に遭って死亡しても自賠責3000万円以上の賠償金がみとめられる可能性があります!

 酔っぱらって道路に寝ていたところ轢かれて死亡してしまった場合でも賠償金はもらえるのですが,保険会社からは3000万円以下の金額しか提示されないこと多くあります。

3000万円という金額は,死亡事故で自賠責保険から支払われる限度額です。

つまり,保険会社は,自賠責保険の限度額までの提示しかしていないので,自社の負担なく賠償金を支払ったことにできます。

ひどい保険会社や共済だと,自賠責保険の請求書だけ送ってきておしまいにするようなところもあります。

 死亡した被害者の家族も「酔っぱらって寝ていたオヤジが悪いんだし」なんて考えて,保険会社の提示する金額で示談してしまうということが多くあるようです。

確かに,酔っぱらって寝ていたお父さん(お父さんとは限りませんが…)に悪いところもあったかもしれませんが,よく考えてみてください。

酔っぱらって寝ていた人はあくまでも歩行者です。

 ここで思い出してもらいたいのは,歩行者と自動車の交通事故の場合,基本的には自動車の方が責任は大きいということです。

あまりないかもしれませんが,酔っぱらって日中に道路に寝ていて自動車に轢かれてしまった場合,歩行者の過失は30%で,運転手の過失は70%になります。

夜間の場合であっても,歩行者の過失も運転手の過失も50%です。

 仮に夜間に酔っぱらって道路に寝ていたところを轢かれて死亡してしまったとして,被害者の損害額の総額が8000万円であったというケースで見てみましょう。

賠償金は単純計算で8000万円×50%=4000万円になります。

そうすると,死亡事故の自賠責保険の限度額である3000万円よりも1000万円ほど高くなります。

それにもかかわらず,保険会社が提示した3000万円の賠償金で示談してしまった場合,1000万円も損することになってしまいます。

死亡事故の場合,仕事をしていた方であれば,損害額は7000万円から9000万円程度になることが多いので,酔っぱらって道路に寝ていたところを轢かれて死亡してしまったという交通事故の場合でも,過失相殺をされたとしても自賠責保険の限度額である3000万円以上の賠償金を得られるというケースが多くあります。

このような事故でも,「酔っぱらって寝ていたオヤジが悪いんだし」なんて考えずに(お父さんとは限りませんが…),弁護士に相談をしてみてください。

ちなみに,もし,被害者が自動車保険に入っていた場合には,過失相殺によって減額された被害者の過失分も保険金として請求できる場合があるので,交通事故に詳しい弁護士に相談してみてください。

クロノス総合法律事務所では被害者の過失が大きい交通事故の相談も受け付けておりますのでお問い合わせください。

まとめ

 それでは,酔っぱらって道路に寝ていたところ轢かれてしまったという交通事故についてまとめます。

 ①運転手は刑事上も民事上も責任を負う可能性がある(民事の場合は自賠法3条があるのでほとんどのケースで賠償責任を負います)

 ②酔っぱらって道路に寝ていたところ轢かれてしまった被害者でも賠償金はもらえる

 ③被害者の過失は夜間の道路に寝ていた場合でも50%程度

 ④賠償金は自賠責保険金の限度額3000万円以上になる可能性が高い

ご参考にしていただければと思います。

解決実績

60代男性 酔って道路で寝てしまったところを車にひかれて死亡した事故 7000万円以上獲得(人身傷害保険を活用して合計7000万円以上獲得)

50代男性 労災と交通事故による死亡事故 約6000万円獲得(遺族年金の支給停止がないように和解!)

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横浜で発生した神奈中バスの交通事故

10月28日夜,横浜市西区桜木町で神奈川中央交通の路線バス(神奈中バス)が乗用車に追突し,さらにその乗用車が別の路線バスに追突するという事故が発生しました。男子高校生1名が死亡し,そのほか6人が重軽傷を負ったそうです。

運転手、直前に意識失う? 横浜の事故、高1乗客死亡

私も横浜市内の高校に通学していたときに神奈川中央交通の路線バスを利用していたので,ひとごととは思えませんでした。突然の交通事故でご子息を失ったご両親の気持ちを考えると非常に痛ましい気持ちになります。ましてや安全運転を第一とすべき公共交通機関である路線バスに乗車中の交通事故で亡くなってしまったとなるとなおさらです。

ニュースでは事故直前に神奈中バスの運転手が意識を失いバスが柱に衝突したと報道されていましたので,運転手に身体的な異常が発生した可能性が高いと思われますが,運転手は過失運転致死傷罪で逮捕されました。被害者が死亡し,けが人も複数となると逮捕は当然といえるでしょう。

刑事裁判になる可能性が高い

運転手の逮捕容疑である過失運転致死傷罪は故意の犯罪ではなく過失の犯罪であるため,一般的には不起訴処分や重くても罰金刑の処分で終わってしまうことが多いのですが,今回の事故は亡くなった高校生を含めて被害者が7名もいますので,法廷で行われる正式裁判となる可能性が高いと思われます。

以前は交通事故の刑事処分というと,被害者にも多少の過失があって発生した死亡事故であったりすると,執行猶予付きの有罪判決であったり,罰金,不起訴処分という結果になることも多くあったかと思いますが,最近では,今回のように被害者が死亡してしまったような交通事故の場合,正式裁判となり,判決も執行猶予のつかない実刑判決になることが多くなっていると思います。

最近,私が被害者側の代理人として参加した死亡交通事故の刑事裁判でも執行猶予のつかない実刑判決になりました。

おそらく,裁判所では,近年飲酒運転やあおり運転などで死亡事故が引き起こされていることに鑑みて,死傷者が出ている交通事故について厳罰にする傾向にあるのだと思います。

被害者遺族も死亡交通事故の刑事裁判に参加することができる

先ほど,私が被害者側の代理人で死亡交通事故の刑事裁判に参加したという話をしましたが,過失運転致死傷罪の場合,被害者や被害者遺族も刑事裁判に参加することができます。これを被害者参加制度(刑事訴訟法316条の33)といいます。

被害者参加制度は全ての刑事裁判で認められるものではなく,殺人罪などの故意の犯罪行為により人を死傷させた事件や今回の交通事故のように人が死傷したような重大な事件で認められる制度です。

今回の交通事故でも刑事裁判になれば,被害者や被害者のご遺族は被害者参加制度を利用して運転手の裁判に参加することができます。

被害者参加制度を利用して刑事裁判に参加すると,被害者や被害者のご遺族は以下のことを行うことができます。

①公判期日に出席すること

②検察官の権限行使に意見を述べること

③情状に関する証人の供述の証明力を争うために必要な事項について証人を尋問すること

④意見を述べるために必要と認められる場合に被告人に質問すること

⑤事実又は法律の適用について意見を述べること

⑥心情等に関する意見を述べること

なかなか被害者や被害者のご遺族が自分たちだけで法廷に立って上記のことを行うのは難しいので,代理人となる弁護士を立てて被害者参加することが多いと思います。おそらく,裁判所や検察官も被害者や被害者のご遺族と直接やり取りをするよりは,代理人となった弁護士を通じてやり取りする方がやりやすいのではないかと思います。

弁護士を立てる費用は,弁護士によって異なると思いますが,場合によっては被害者参加人のための国選弁護制度を利用して法テラスの援助を受けることが可能です。なお,当事務所では,交通事故の賠償請求のご依頼をいただいた場合には費用をいただかずに被害者参加人の代理人としての活動を行っています。

死亡交通事故において被害者参加制度を利用する意義

裁判官は,基本的には過去の同じような事故(過失の内容,死傷した被害者の数など)でどのような判決が出されていたかという点を考慮して判決を下すことが多いので,被害者参加制度を利用したからといって,劇的に判決の内容が重くなるということはありません。

しかし,裁判官は被害者や被害者遺族の処罰感情や被害感情を十分に考慮しますので,必ず被害者参加制度を利用し刑事裁判に参加して,被告人に対する処罰感情や家族を失った悲しみが続いているといった被害感情を裁判官に伝えることが重要だと思います。

また,私がこれまでに担当した被害者参加では,刑事裁判で意見を述べることで,被害者や被害者遺族の気持ちが多少でも違ったものになるということもあったように感じます。

やはり,被害者や被害者遺族が外に置かれて刑事裁判が行われるよりも,裁判の当事者として裁判に参加した方が気持ちの面で大きな違いがあるのではないかと思います。

事実婚の配偶者が交通事故で亡くなったらどうなる?

通常,法律上の婚姻関係のある夫婦の一方が交通事故で亡くなった場合,配偶者は,亡くなった配偶者の逸失利益などの損害賠償請求権を相続するという法律構成によって,加害者に対して損害賠償の請求をすることになります。

しかし,事実婚の場合,配偶者が交通事故によって亡くなっても,もう一方の配偶者は,法律上,亡くなった配偶者の損害賠償請求権を相続することはできません。

多くの裁判例は,この不都合を回避するために,事実婚の配偶者の扶養請求権の喪失を根拠として加害者に対する逸失利益などの損害賠償請求を認めるという法律構成をとっています。

扶養請求権の喪失を根拠に損害賠償請求を認めている多くの事例は,事実婚の夫が交通事故の被害者で,事実婚の妻が専業主婦だったり,パート収入しかなく事実婚の夫に扶養されているという事例です。

このように,事実婚の奥さんが専業主婦だったり,もしくはパート収入くらいしかない状況で事実婚の夫に扶養されているという場合であれば,扶養される権利の喪失を根拠として,加害者に対して損害賠償の請求をすることは比較的簡単に認められます(夫に前妻との間の子供がいるというような場合はまた問題が生じると思いますが)。

同性同士の事実婚の配偶者が交通事故で亡くなったらどうなる?

現在では,男女間の事実婚だけでなく,渋谷区などが戸籍上の性別が同じ同士の方たちにパートナーシップ証明書を交付するなど,同性同士で事実婚のような関係にある方もいらっしゃいます。そうすると,今後は男女間の事実婚だけでなく,同性間の事実婚の場合も含めて,配偶者が交通事故で亡くなったときに,どのような法律構成によりもう一方の配偶者が加害者に対して損害賠償の請求ができるかを考える必要があるのではないでしょうか。

もちろん,同性間の事実婚の場合で,一方の配偶者がもう一方の配偶者に扶養されているという状況であれば,男女間の事実婚の場合と同じように,扶養請求権の喪失を根拠とすることが可能だと思います。

しかし,同性間の事実婚の場合,一方がもう一方に扶養されているという状況は少ないのではないでしょうか。おそらく,二人ともが仕事を持ち一人でも生活できるだけの収入を得て生活をしていることの方が多いように思います。そうすると,同性同士で事実婚にある二人が一人で生活できるだけの収入を得ていたとすると,扶養請求権の喪失を根拠として加害者に対する損害賠償請求を認めるという法律構成はとることができないのではないかという疑問が生じます。

もちろん,この疑問は,男女間の事実婚の場合でも,扶養されていた妻が交通事故で亡くなった場合には生じてきます。

これまでの裁判例を見ていると,扶養されていた妻が亡くなった場合には,固有の慰謝料の請求しか認めず,扶養されていた妻の家事労働の逸失利益の損害賠償請求は認めていないものが多いように思います。これは,事実婚の場合には,あくまでも相続ができないため,扶養請求権の喪失を根拠とするという立場が貫かれているためだと考えられます。

そうすると,やはり同性同士の事実婚の場合,亡くなった配偶者の逸失利益の損害賠償請求は認められないというケースが多くなってしまうように思います。

法律上の婚姻関係にある場合には,扶養されていない場合でも,配偶者がなくなった場合にはその逸失利益の損害賠償が認められることと比較すると,均衡がとれていないように感じます。

固有の慰謝料は当然に請求できる

事実婚の配偶者が交通事故で亡くなった場合でも,もう一方の配偶者に固有の慰謝料請求は認められます。亡くなった配偶者の逸失利益の請求が認められないような場合には,固有の慰謝料を増額するなどして多少調整を図ることになると思います。

もちろん,固有の慰謝料の請求が認められるためには,事実婚の関係にあることを請求する側で証明することが必要です。

同性同士の事実婚の場合には,先ほど挙げたパートナーシップ証明書などは有力な証拠になるはずです。そのほかには,同居して夫婦同然の生活をしていたことを示すことができればいいので,住民票と当事者の陳述書などでも大丈夫だと思います。

解決実績

60代男性 酔って道路で寝てしまったところを車にひかれて死亡した事故 7000万円以上獲得(人身傷害保険を活用して合計7000万円以上獲得)

50代男性 労災と交通事故による死亡事故 約6000万円獲得(遺族年金の支給停止がないように和解!)

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自賠責保険の仮渡金とは?

交通事故に遭って被害者の方が亡くなったり,負傷した場合に,ご遺族や被害者本人に葬儀費や治療費など当座の費用がないという場合に,自賠責保険に対して一定額を請求できるという制度があります。これを自賠責保険の仮渡金といい,自動車損害賠償保障法17条で被害者やそのご遺族に認められた権利になります。

仮渡金の制度は,請求手続きを簡便にして迅速に一定金額を支払うことにより被害者やご遺族の保護を図るという点にあります。

このような制度趣旨であるため,仮渡金は被害者や遺族だけが請求でき加害者が請求することはできません。また,自動車損害賠償保障法16条の被害者請求と比べて,請求書に添付する書類が少なく迅速に支払いがなされるという特徴があります。

どのような場合に仮渡金を請求できる?

仮渡金が請求できる場合,請求できる金額は以下の表のとおりです(自動車損害賠償保障法施行令5条)。

仮渡金が請求できる場合金額
死亡した場合290万円
①脊柱の骨折で脊髄を損傷したと認められる症状を有する場合
②上腕または前腕の骨折で合併症を有する場合
③大腿または下腿の骨折した場合
④内臓の破裂で腹膜炎を併発した場合
⑤14日以上病院に入院することを要する傷害で,医師の治療を要する期間が30日以上の場合
40万円
⑥脊柱の骨折
⑦上腕または前腕の骨折
⑧内臓の破裂
⑨病院に入院することを要する傷害で,医師の治療を要する期間が30日以上の場合
⑩14日以上病院に入院することを要する傷害
20万円
⑪11日以上医師の治療を要する傷害を受けた場合5万円

仮渡金の請求に必要な資料

仮渡金の請求に必要な資料は以下の表のとおりです。

傷害の仮渡金請求死亡の仮渡金請求
①支払請求書
②請求者の印鑑証明書
③交通事故証明書
④事故発生状況報告書
⑤診断書
①支払請求書
②請求者の印鑑証明書
③交通事故証明書
④事故発生状況報告書
⑤死亡診断書または死体検案書
⑥省略のない戸籍(除籍)謄本

自賠法16条の被害者請求の場合,傷害分の請求であっても診断書のほかに診療報酬明細書が必要になりますが,仮渡金の請求には診療報酬明細書は必要ありません。

仮渡金は自賠責保険会社から返還を求められることがある

仮渡金は,上記のとおり迅速な支払いをすることにより被害者やその遺族を保護することを目的としていますので,支払いの時点で,加害者に事故発生の責任があるかどうか(有無責)の調査をしっかりとせずに支払いがされます。

そのため,後から実は加害者に事故発生の責任がなく被害者だけに事故発生の責任があるという場合や被害者の損害が支払った仮渡金を下回る場合には,仮渡金を支払った自賠責保険会社は,仮渡金を受け取った被害者またはその遺族に対して返還請求することができます(自賠法17条3項)。

2016年の「ながらスマホ」等の交通事故1999件、死亡事故27件

2016年に「ながらスマホ」や携帯電話を利用中に発生した交通事故は1999件だったそうです。そのうち死亡事故は27件もあったそうです。

2016年の「ながらスマホ」の交通事故1999件、死亡事故27件—警察庁が取り締まり強化

記事によると,携帯電話使用による交通事故の発生は,2011年と比較すると約1.6倍になっており,特にスマホなどの画面を見たり操作したりして起きた事故は約2.3倍と急増しているそうです。昨年8月には,運転中にスマホゲームのポケモンGOをしていて交通事故を起こし被害者が死亡したという事件があり話題になりました。

取締り強化や広報の活動をするそうですが,運転中の「ながらスマホ」による交通事故は今後も増えていきそうです。そうすると,「ながらスマホ」が原因の交通事故の刑事裁判も増えていきそうです。
先ほどの運転中にポケモンGOをしていて死亡事故を起こした運転手は,懲役1年2月の実刑判決になっています。
死亡事故なので実刑判決は珍しいことではなく,ポケモンGOをしていた「ながらスマホ」だからといって,ほかの同じような運転手の著しい過失によって発生した死亡事故と比べて特別に重い刑が下されているという感じはしません。

実刑判決になるかどうかというのは刑事事件の話になりますが,次に「ながらスマホ」によって交通事故を起こしてしまった場合,民事事件でどのような影響があるか考えてみたいと思います。

運転手の過失割合が大きくなる

過失割合は,事故態様を基本に,事故ごとの個別の事情を考慮して決定することになります。個別の事情とは,法定速度を超過していた,酒気帯び運転をしていたというような事情です。

携帯電話が普及して時間が経っていますので,運転中に携帯電話を利用していたという事情は,以前から過失割合を決定する個別の事情として考慮されることは多くあり,運転手の過失割合が+10になるという事情でした。そうすると「ながらスマホ」も,当然,運転手の過失割合を大きくする事情になります。

ただ,「ながらスマホ」は単に運転中に携帯電話を利用していたという場合に比べて,完全に前方からスマホの画面に目を移し,前方を見ていない時間も長くなるので危険性が高い行為といえます。そうすると,運転手の過失割合を+15から+20にするような事情と考えてもいいように思います。

慰謝料増額事由になりうる

運転中に危険な行為をして交通事故を起こした場合には,危険な行為を行ったという事情は慰謝料を増額する事由になります。例えば,社会的に大きな問題となった飲酒運転は,きわめて危険性の高い行為になるので慰謝料増額事由になります。

「ながらスマホ」はスマホ画面を注視してしまうため,前方を見ていない時間が長くなることから極めて危険性の高い行為です。

そうすると「ながらスマホ」も慰謝料を増額する事由になりうると考えられます。

軽度な事故だと運転手の「ながらスマホ」が分からないことがある

先ほどの運転中にポケモンGOをしながら死亡事故を起こしてしまったような事件は重大事件ですので,警察もきちんと捜査をして運転中にスマホを利用していた事実を通信会社の利用履歴などをとって裏どりをしているはずです。

ところが,軽度な事故だと,警察は当事者から事故の状況を聞いて実況見分調書に事故の状況を記録しておくくらいの捜査しかしてくれませんので,事故の当事者からスマホを使っていたという申告がない限り,運転手が「ながらスマホ」をしていたという事実が分からないということもあり得ます。

見通しのいい道路での事故など,こんなところで事故が起きるなんておかしいと思った場合には,運転手が「ながらスマホ」をしていた可能性もあるので,警察に捜査をするよう促してみて下さい。

死亡事故の逸失利益

逸失利益とは,将来生きていれば得られたはずの収入を填補するという損害項目です。

死亡事故の逸失利益は,賠償金の大部分を占めますのでどのように計算をするかをしっかりと理解しておく必要があります。死亡事故の逸失利益は以下の計算式で計算をします。

基礎収入×(1-生活費控除率)×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

死亡事故一般については,「死亡事故で知っておくべき知識」をご覧ください。

学生の逸失利益

基礎収入

基本的に学生は仕事をしていないので収入がありません。しかし,将来仕事をすることは間違いありませんので,学生の場合も逸失利益は認められます。

死亡事故の逸失利益の計算(主婦の場合)でも書きましたが,交通事故に遭った当時に収入がない被害者の方の場合には賃金センサスの平均賃金を使います。

学生といっても,小学生,中学生,高校生,専門学校生,大学生とあります。学生の場合は,賃金センサスのうち学歴計全年齢の平均賃金,もしくは大卒の平均賃金のいずれを用いるかが問題になります。もちろん,平均賃金は大卒の方が高額になります。

学生のうち,専門学校生は学歴計全年齢の平均賃金,大学生は大卒の平均賃金を基礎収入にするということであまり問題はありません。

小学生,中学生,高校生の場合には,一般的には学歴計全年齢の平均賃金を基礎収入にすることが多いと思いますが,被害者が大学に進学することが明らかだった場合には,大卒の平均賃金を基礎収入にすることとも可能です。ただし,後で説明する労働能力喪失期間の就労開始年齢が,学歴計全年齢の平均賃金を基礎収入とする場合は18歳となりますが,大卒の平均賃金を基礎収入とする場合は22歳となるので,その点は注意が必要です。

生活費控除率

被害者が一家の支柱で被扶養者が1人の場合40%
被害者が一家の支柱で被扶養者が2人以上の場合30%
女性(主婦、独身、幼児等含む)30%
男性(独身、幼児等含む)50%
年金部分30%~50%

被害者が学生の場合,基本的には独身の方が多いと思いますので,上の表でいうと,男性であれば50%,女性であれば30%になります。ただし,上の表の女性の生活費控除率は,基礎収入を賃金センサスの女性学歴計全年齢の平均賃金とすることを前提としていると考えられます。民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準(赤い本)には,以下のような説明があります。

「なお,女子年少者の逸失利益につき,全労働者(男女計)の全年齢平均賃金を基礎収入とする場合には,その生活費控除率を40%~45%とするものが多い」(「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準」)

そうすると,女子の年少者(小学生くらい)の場合,基礎収入を全労働者(男女計)学歴計全年齢の平均賃金を使うのであれば,生活費控除率は40%から45%になる可能性が高そうです。

労働能力喪失期間(ライプニッツ係数)

学生の場合,まだ就労を開始していませんので,労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数が少し複雑になります。

学生の場合のライプニッツ係数は,①まず,事故当時の年齢から67歳までの期間に対応するライプニッツ係数を出します。②次に,事故当時の年齢から実際に働き始めるまでの年齢の期間に対応するライプニッツ係数を出します。③①から②を差し引いた出された数値を労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数とします。

このように書くと全く分からないので,具体例で説明したいと思います。

事故当時10歳の子供が18歳から働き始めることを前提とした場合

①67歳-10歳=57年 57年に対応するライプニッツ係数 27.1509

②18歳-10歳=8年 8年に対応するライプニッツ係数 7.0197

③27.1509-7.0197=20.1312

この場合,20.1312を労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数とすることになります。

なお,ライプニッツ係数は,民法改正前は,民法の法定利率と同じく年5%で中間利息を控除する数値になっていましたが,現時点では年3%で中間利息を控除する数値になっていますので,それに合わせてライプニッツ係数の修正を行いました。ライプニッツ係数の数値は、今後も変更になるので注意が必要です。

事故当時12歳の男子小学生で18歳から働き始めることを前提とした場合の逸失利益は約6000万円

基礎収入は,18歳から働き始めることが前提ですので,令和元年の賃金センサスの男性学歴計全年齢の平均賃金560万9700円となります(賃金センサスは年度によって金額が変わりますのでご注意ください)。

生活費控除率は男子ですので50%になります。

さあ,一番複雑な労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数です。以下のとおりとなります。

①67歳-12歳=55年 55年に対応するライプニッツ係数 26.7744

②18歳-12歳=6年 6年に対応するライプニッツ係数 5.4172

③26.7744-5.4172=21.3572

そうすると,この場合の逸失利益の計算は以下の計算式のとおりとなります。

560万9700円×(1-50%)×21.3572=5990万3742円

事故当時20歳の女子大学生で大学卒業後から働き始めることを前提とした場合の逸失利益は7000万円以上

基礎収入は,女子大学生ですので,令和元年の賃金センサスの女性大卒全年齢の平均賃金472万400円となります。

生活費控除率は,先ほど説明したように独身女性の生活費控除率はは30%になります。

労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数は以下のとおりになります。

①67歳-20歳=47年 47年に対応するライプニッツ係数 25.0247

②22歳-20歳=2年 2年に対応するライプニッツ係数 1.9135

③25.0247-1.9135=23.1112

大学生の場合,卒業時の年齢(通常22歳)から就労開始となりますのでこのような計算になります。

そうすると,この場合の逸失利益の計算は以下の計算式のとおりとなります。

472万400円×(1-30%)×23.1112=7366万5875円

実際にどれくらいに賠償金になるのかは弁護士に相談しよう!

実際にどれくらいの賠償金になるのかは、それぞれの事情によって違ってきますので、弁護士に相談しましょう!

交通事故に強い弁護士がいるクロノス総合法律事務所では、事情をお聞きしてどれくらいの賠償金になるのか無料でお答えしますので、ぜひお問い合わせ下さい。

死亡事故の逸失利益はどうやって計算するの?

逸失利益とは,将来生きていれば得られたはずの収入を填補するという損害項目です。 死亡事故の逸失利益は,賠償金の大部分を占めますのでどのように計算をするかをしっかりと理解しておく必要があります。死亡事故の逸失利益は以下の計算式で計算をします。 基礎収入×(1-生活費控除率)×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数 死亡事故一般については,「死亡事故で知っておくべき知識」をご覧ください。

主婦も逸失利益は認められる!

基礎収入は,会社員の場合には交通事故に遭った前年の年収を基準としますが(「死亡事故の逸失利益(会社員の場合)」をご覧ください。),専業主婦の場合,収入がありませんので逸失利益は認められないということになってしまうのでしょうか? それではあまりにも専業主婦の方の家事労働を軽視しすぎですので,収入がないからと言って逸失利益が認められないということは断じてありません! むしろ,専業主婦の方が家事をしっかりとしてくれていることで,旦那さんが仕事に専念できていますので,当然,専業主婦の方の家事労働も対価性が認められます。 では,専業主婦の方の収入はどのように決められるのでしょうか? 専業主婦など収入のない方の場合,毎年,厚生労働省が発表している賃金統計を使います。この賃金統計を「賃金センサス」といいます。省略して「賃セ」といったりします。 専業主婦の方の場合は,、「賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、女性労働者の全年齢」の平均賃金を基礎収入にします。 ちなみに,令和元年の賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、女性労働者の全年齢の平均賃金は,388万100円になります。賃金センサスは毎年発表されて基本的には金額も変動していますので,いつの年の賃金センサスを使うのかについては注意する必要があります。 また,最近は,専業主婦の方よりも正社員だったり,パートだったり仕事を持たれている女性も多くなっています。このような兼業主婦(言い方が古くてすみません。もっといい言い方ないですかね?)の方の場合,基礎収入は,仕事から得ている収入と賃金センサスのいずれを利用することになるのでしょうか? 兼業主婦の方の場合,事故前年の年収と賃金センサスの平均賃金を比較して高額な方を基礎収入とします。パートの方ですと,ほとんどのケースで賃金センサスの平均賃金の方が高額になります。そのため,保険会社は,賃金センサスの平均賃金を基礎収入とせずに事故前年の年収を基礎収入として逸失利益の計算をすることがありますので注意しましょう。 主婦の方の生活費控除率は以下の表のとおり30%になります。
被害者が一家の支柱で被扶養者が1人の場合40%
被害者が一家の支柱で被扶養者が2人以上の場合30%
女性(主婦、独身、幼児等含む)30%
男性(独身、幼児等含む)50%
年金部分30%~50%
労働能力喪失期間は事故当時の年齢から67歳までの期間になります。ただし,高齢で67歳までの期間が平均余命の2分の1よりも短い場合には,平均余命の2分の1が労働能力喪失期間になります。 ライプニッツ係数は労働能力喪失期間によって変わりますので具体的な事例の中で見ていきましょう。また,ライプニッツ係数は,以前は,民法の法定利率と同じく年5%で中間利息を控除する数値でしたが,現在は,年3%で中間利息を控除する数値になっていますので、以下の例では年3%で中間利息控除をする前提のライプニッツ係数の数値で計算しています。

事故当時40歳で子供2人を持つ専業主婦の逸失利益は5000万円近くになります

基礎収入は,事故の年によって違ってくるのですが,ひとまずここでは先ほど例で挙げた平成27年の賃金センサスの平均賃金372万7100円とします。 生活費控除率は,男性の場合,扶養家族の人数によって生活費控除率が変わってきましたが,専業主婦の方の場合は基本的には被扶養者になりますので,子供がいても生活費控除率が30%から変わることはありません。 労働能力喪失期間は67歳までの27年になります。27年に対応するライプニッツ係数は18.3270になります。 そうすると,この場合の逸失利益は以下の計算式のとおりとなります。 388万100円×(1-30%)×18.3270=4977万7414円

事故当時25歳の兼業主婦(大卒)で事故前年の年収が400万円で子供がいない女性の逸失利益は7800万円以上になります

この場合,基礎収入は応用問題になります。先ほど,兼業主婦の場合は,事故前年の年収と賃金センサスの平均賃金を比較してのいずれか高額の方を基礎収入にすると説明をしました。 そうすると,事故前年の収入400万円と令和元年の賃金センサスの平均賃金372万7100円を比較すると事故前年の年収400万円の方が高額なので,基礎収入は400万円になりそうです。 しかし,事案をよく見ていただくとこの方は「25歳」の「大卒」となっています。 30歳未満の若年労働者の方の場合には賃金センサスのうち全年齢の平均賃金を使うのですが,25歳の大卒の場合は,女子大卒全年齢の平均賃金を使うことになります。 令和元年の賃金センサスの女子大卒全年齢の平均賃金は472万400円になります。 そうすると,この場合は事故前年の年収よりも全労働者全年齢の賃金センサスの方が高いということになるので,基礎収入は472万400円になります。 生活費控除率は女性なので30%になます。 労働能力喪失期間は67歳までの42年となり,42年に対応するライプニッツ係数は23.7014になります。 そうすると,この場合の逸失利益は以下の計算式のとおりとなります。 472万400円×(1-30%)×23.7014=7831万6061円

民法改正によって中間利息控除をするための年利が変更になったことによって逸失利益が民法改正前(2020年3月31日以前)よりも高額になる!

2020年4月1日に民法が改正されて、法定利率がそれまでの年5%から現状は3%に変更になりました(今後、法定利率は3年ごとに見直しされます。)。 これに合わせて中間利息控除の利率も現状3%に変更になったため、中間利息として控除される金額が民法改正前(2020年3月31日)に比べて少なくなりました。 中間利息として控除される金額が少なくなったということは、その分、逸失利益が高額になるということです。 2020年4月1日以降に発生した交通事故については、改正後の民法が適用されますので、逸失利益の計算をしっかりとしましょう。 亡くなった被害者の大事な賠償金ですので、逸失利益を含めて賠償金が総額でいくらになるのかはしっかりと確認した上で解決するようにしましょう。

実際にどれくらいの逸失利益、賠償金になるのかは弁護士に相談しよう!

実際にどれくらいの賠償金になるのかは、それぞれの事情によって違ってきますので、弁護士に相談しましょう! 交通事故に強い弁護士がいるクロノス総合法律事務所では、事情をお聞きしてどれくらいの賠償金になるのかお答えしますので、ぜひお問い合わせ下さい。

死亡事故の逸失利益は生活費を控除して計算する

死亡事故の逸失利益は,賠償金の大部分を占めますのでどのように計算をするかをしっかりと理解しておく必要があります。死亡事故の逸失利益は以下の計算式で計算をします。

基礎収入×(1-生活費控除率)×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

生活費控除率とは、死亡したことによって支出を免れた生活費を控除するための数値になります。

後遺障害の逸失利益との違いは、死亡事故の逸失利益は生活費を控除して計算するという点です。

生活費は、多くの方が仕事をして得た収入から支出しています。

重度の後遺障害が残っても、当然ですが食事や住居費などの生活費はかかります。

一方、交通事故によって亡くなってしまった場合には、その後の生活費の支出は免れることになります。

そのため、死亡事故の逸失利益は生活費を控除して計算することになるのです。

死亡事故一般については,「死亡で知っておくべき知識」をご覧ください。

会社員の逸失利益を計算してみよう

基礎収入は,会社員の場合は事故前年の年収になります。

例外的に,年俸制の契約で年収が決まっていたのに,交通事故によって事故に遭った年の年収が下がった場合には,事故に遭った年の年俸を基礎収入とすることができます。

具体的に説明すると,事故前年の年収が850万円で,事故に遭った年の年収が年俸制の契約で1000万円決まっている場合,基礎収入は850万円ではなく1000万円とすることが可能です。

生活費控除率は被害者の家庭内での立場などによって異なります。生活費控除率の具体的な数値は以下のとおりです。

被害者が一家の支柱で被扶養者が1人の場合40%
被害者が一家の支柱で被扶養者が2人以上の場合30%
女性(主婦、独身、幼児等含む)30%
男性(独身、幼児等含む)50%
年金部分30%~50%

労働能力喪失期間は事故当時の年齢から67歳までの期間になります。

ただし,高齢で67歳までの期間が平均余命の2分の1よりも短い場合には,平均余命の2分の1が労働能力喪失期間になります。

ライプニッツ係数は労働能力喪失期間によって変わりますので具体的な事例の中で見ていきましょう。

また,ライプニッツ係数は,以前は,民法の法定利率と同じく年5%で中間利息を控除する数値でしたが,現在は,年3%で中間利息を控除する数値になっています。

以下の例では年3%で中間利息控除をする前提のライプニッツ係数の数値で計算しています。

事故当時40歳で妻と子供2人を持つ男性で事故前年の年収が800万円の場合の逸失利益は1億円以上

事故当時40歳で妻と子供2人を持つ男性で事故前年の年収が800万円だった場合を例に会社員の逸失利益の具体的な計算についてみてみましょう。

基礎収入800万円

生活費控除率 30%(被扶養者が2人以上)

労働能力喪失期間 27年(40歳から67歳までの27年) ライプニッツ係数 18.3270

800万円×(1-30%)×18.3270=1億236万1200円

中間利息控除の年利が3%になったことで逸失利益が非常に高額になるようになりました。

事故当時25歳の独身男性(大卒)で年収400万円の場合の逸失利益は約8000万円

今度は、事故当時25歳、大卒、年収400万円の独身男性を例に会社員の逸失利益の具体的な計算についてみてみましょう。

基礎収入は,400万円と思ってしまいますが,この場合400万円ではありません。

30歳未満の若年労働者の場合,賃金センサスの平均賃金を基礎収入とします。

男性の大卒の場合671万4600円(令和元年)になります。そうすると,この場合,基礎収入は671万4600円になります。

基礎収入 671万4600円

生活費控除率 50%(独身男性)

労働能力喪失期間 42年(25歳から67歳までの42年) ライプニッツ係数 23.7014

671万4600円×(1-50%)×23.7014=7957万2710円

民法改正によって中間利息控除をするための年利が変更になったことによって逸失利益が民法改正前(2020年3月31日以前)よりも高額になる!

2020年4月1日に民法が改正されて、法定利率がそれまでの年5%から現状は3%に変更になりました(今後、法定利率は3年ごとに見直しされます。)。

これに合わせて中間利息控除の利率も現状3%に変更になったため、中間利息として控除される金額が民法改正前(2020年3月31日)に比べて少なくなりました。

中間利息として控除される金額が少なくなったということは、その分、逸失利益が高額になるということです。

2020年4月1日以降に発生した交通事故については、改正後の民法が適用されますので、逸失利益の計算をしっかりとしましょう。

亡くなった被害者の大事な賠償金ですので、逸失利益を含めて賠償金が総額でいくらになるのかはしっかりと確認した上で解決するようにしましょう。

実際にどれくらいの逸失利益、賠償金になるのかは弁護士に相談しよう!

会社員の死亡事故は、中間利息控除の数値が小さくなったことで逸失利益が非常に高額になりました。

それに伴って賠償金も非常に高額になり、収入が高く、扶養家族がいる被害者の場合、賠償金の総額は1億円を超える可能性もあります。

実際にどれくらいの賠償金になるのかは、それぞれの事情によって違ってきますので、保険会社から提示された賠償金が高額であったとしても必ず弁護士に相談しましょう!

交通事故に強い弁護士がいるクロノス総合法律事務所では、事情をお聞きしてどれくらいの賠償金になるのか無料でお答えしますので、ぜひお問い合わせ下さい。

解決実績

60代男性 酔って道路で寝てしまったところを車にひかれて死亡した事故 7000万円以上獲得(人身傷害保険を活用して合計7000万円以上獲得)

50代男性 労災と交通事故による死亡事故 約6000万円獲得(遺族年金の支給停止がないように和解!)

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死亡事故で知っておくべき知識

死亡交通事故の解決方法

大切なご家族を死亡交通事故で亡くしてしまったら、ご家族はどうすればいいのか分からないはずです。

何が行われているのか分からないまま刑事裁判が終わってしまい、そのあとは保険会社から賠償金の提示があってどうしたらわからないという理由でご相談いただくことも多くあります。

ここでは、交通事故の死亡事故の民事の解決方法について解説します。

死亡交通事故の民事の解決方法は,以下の4つの解決方法が考えられます。

・示談(裁判外の解決機関を含む)で解決

・裁判で解決

・被害者側の自動車保険の人身傷害保険を取得して解決

・自賠責保険だけ取得して解決

死亡交通事故は示談で解決することは少ない

示談での解決のメリットは,交通事故の解決方法で説明をした通り早期に解決できるという点です。

死亡交通事故で早期に解決をしないといけないケースというのは,家族の生活を支えていた一家の主が被害者になり,早期に解決をしなければ残された家族の生活が立ち行かなくなってしまうというような場合です。

しかし,通常,一家の主の場合には生命保険がかけられていることが多いので,家族の生活が立ち行かなくなるケースというのはそれほど多くありません(もちろん,賠償金は生命保険とは別で請求することができます)。

そもそも、一家の主の場合は、自賠責保険から3000万円がおりますので、自賠責保険を取得してから裁判で解決するという方法をとることもできます。

ほかに死亡交通事故で示談で解決をした方がいいケースは,保険会社が通常よりは有利な過失割合を提示していたり,有利な逸失利益を提示しているような場合になります。

あまりあるケースではありませんが,まれにこのようなこともあります。

そうすると,実は,死亡交通事故については示談で解決した方がいいケースというのはほとんどなく示談で解決することは少ないと思います。

死亡交通事故は裁判で解決することで最大限の賠償金を獲得できる

このように死亡交通事故の場合,示談で解決した方がいいケースというのはあまりないので,基本的には裁判で解決をした方がいいでしょう。

裁判で解決をする場合,弁護士費用が損害額の10%で認められ,遅延損害金が事故日から賠償金の支払いまで年3%もしくは5%※で認められるので,トータルの賠償金が示談で解決する場合と比較して高額になります。※交通事故の発生時期によって異なります。

ただし,死亡事故の場合,過失割合と逸失利益という賠償金の計算に大きくかかわってくる事項が争点となりやすいです。

特に過失割合はほとんどの死亡事故で争点になると思いますので、死亡事故を裁判で解決する場合には、交通事故を専門としている弁護士に依頼した方がご遺族にとってよりよい解決ができます。

弁護士に依頼する場合でも,弁護士特約があれば家族の負担になる事もないですし,弁護士特約がなかったとしても,着手金を不要としている弁護士もいるので,費用面での心配はそれほどないと思います(クロノス総合法律事務所の弁護士費用)。

また交通事故で亡くなった被害者の無念を裁判で解決することによって晴らすことができる、ご遺族も裁判で解決することによって被害者にできる限りのことをやってあげたというお気持ちを感じることができるという面もあります。

交通事故で亡くなった被害者のためにも、死亡事故は最大限の賠償金を獲得できる裁判で解決した方がいいでしょう。

被害者側の自動車保険の人身傷害保険を取得して解決

被害者側が自動車保険に入っている場合、交通事故の被害者となった場合でも使うことができる保険があります。

被害者の損害を補償する保険としては人身傷害保険が代表的な保険になります。

死亡交通事故の場合、人身傷害保険だけを取得して解決するのではなく、裁判を起こして加害者から賠償金を取得するとともに人身傷害保険を取得して解決することになります。

人身傷害保険は、通常、自損事故(加害者がいない自分に責任のある事故)を起こした場合でも、治療費、休業損害、逸失利益、慰謝料を支払ってくれるという保険になります。

自分に責任のある場合でも保険金を支払ってくれるという保険ですので、加害者がいる交通事故であっても被害者に過失がある場合に被害者の過失分に相当する損害について保険金を支払ってくれます。

人身傷害保険を活用することで、裁判で認められた被害者の損害額の全額を取得することができるようになりますので、実質的には過失がない場合と同じ解決を実現できることになります。

人身傷害保険の活用は、交通事故の専門的な知識が必要ですので交通事故を専門としている弁護士に相談しましょう。

自賠責保険だけ取得して解決

自賠責保険だけ取得して解決をするケースというのは,賠償金の総額が自賠責の死亡事故の限度額である3000万円を超えないことが明らかな場合です。

もちろん、人身傷害保険がある場合は自賠責保険だけを取得して解決ということはありません。

しかも、自賠責保険と人身傷害保険の請求の順番を間違えてしまうと、数千万単位で最終的に取得できる金額が違ってくるケースもあるので注意が必要です。

よくある自賠責保険だけ取得して解決するケースとしては,トータルの賠償金が6000万円以下で,過失が少なくとも50%以上あるようなケースです。

このようなケースでは,裁判を起こしたとしても賠償金の総額が自賠責の限度額である3000万円を下回る可能性がありますので,自賠責で3000万円を取得して解決する方が取得できる金額が高くなります。

ただし、裁判で解決する場合には、弁護士費用と遅延損害金が加算されますので、裁判で解決した方がいいのか、それとも自賠責保険だけ取得して解決した方がいいのかは、被害者の損害額や過失割合をしっかりと検討する必要があります。

亡くなった被害者の過失が大きい事故になりますと、保険会社は自賠責の限度額でしか賠償金の提示をしてこないことがあります。

これで示談してしまうと、実質的には自賠責保険だけを取得して解決したのと違いはありません。

保険会社の中には、ご遺族に自賠責保険の請求書類だけを送ってきてそれ以降の対応を一切しないという保険会社もあります。

本当に自賠責保険だけを取得して解決すべき事案なのかは、交通事故を専門としている弁護士に相談してから判断した方がいいです。

死亡交通事故の相談は交通事故を専門にしている弁護士に相談しましょう

死亡交通事故は、交通事故の内容、被害者の属性、被害者側の保険の有無などの事情によって最終的に取得できる金額が大きく違ってきます。

大切な家族がなくなってしまったのに最大限の賠償金や保険金を獲得できないのでは、交通事故の二次被害に遭ったといっても過言ではありません。

交通事故の死亡事故は、弁護士を入れて裁判で解決した方がいいケースが多いので,交通事故を専門にしている弁護士に相談することをお勧めします。

クロノス総合法律事務所では死亡交通事故の解決実績が豊富です。

死亡交通事故は、電話、メール、LINEで無料相談を受け付けています。

また着手金も無料で報酬も獲得した賠償金からいただいていますので自己負担は実質的に0円です。

解決実績

60代男性 酔って道路で寝てしまったところを車にひかれて死亡した事故 7000万円以上獲得(人身傷害保険を活用して合計7000万円以上獲得)

50代男性 労災と交通事故による死亡事故 約6000万円獲得(遺族年金の支給停止がないように和解!)

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