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自賠責 | 【公式】横浜の交通事故に強い弁護士《クロノス総合法律事務所》

東京地裁では自賠責の確定遅延損害金への優先充当をしなくなった?

最近、東京地裁民事27部(交通専門部)で、被害者側で損害賠償請求をしていた事件で、本当に?と思うことありました。

それは、和解のときに、裁判官から和解では自賠責の確定遅延損害金への優先充当をしないという話があったことです。

自賠責の確定遅延損害金への優先充当ってなに?

そもそも確定遅延損害金って何?って方も多いと思います。

交通事故の場合、民法の不法行為に基づいて損害賠償請求を行います。不法行為に基づく損害賠償債務は、事故時から遅延損害金が発生します。

例えば、交通事故が2021年12月15日発生し、その交通事故で被害者が被った損害が1000万円で、加害者が1年後の2022年12月14日に賠償金を支払うとします。

現在の民法ですと、法定利率はひとまず3%ということになりますので、2022年12月14日の時点で1000万円×3%=30万円の遅延損害金が発生していることになります。

確定遅延損害金というのは、自賠責が支払われた時点までに発生している遅延損害金のことを言います。

先ほどの例でいうと、1年後の2022年12月14日に自賠責が支払われた場合、その時点までに発生している30万円が確定遅延損害金になります。

自賠責を取得したうえで、加害者に対する損害賠償請求の裁判を起こす場合、通常は、自賠責で支払われた金額を確定遅延損害金に充当して、請求金額を算定します。この自賠責で支払われた金額を確定遅延損害金に充当するというのが自賠責の確定遅延損害金への優先充当といいます。

自賠責の確定遅延損害金への優先充当は、最高裁平成16年12月20日判決で認められています。そのため、裁判を起こすときには、必ず自賠責の確定遅延損害金への充当をして請求金額を計算します。

自賠責の確定遅延損害金への優先充当をしないなら和解はしないでしょ!

私は、以前は東京の法律事務所で交通事故の損害賠償請求事件ばかり担当していましたので、頻繁に東京地裁民事27部で裁判をしていました。その頃は、和解の話をするときは、当然のように裁判所からは自賠責の確定遅延損害金への優先充当をした和解案が出されていました。

現在、私は横浜で仕事をしていますので、東京地裁民事27部で裁判をすることは少なくなりましたが、それでも東京地裁民事27部で最後に和解した2018年までは、当然のように裁判所から自賠責の確定遅延損害金への優先充当をした和解案が出されていました。

当然、今回の裁判でも自賠責の確定遅延損害金への優先充当した和解案が出されると思っていました。しかし、裁判官と個別に和解について協議をしたら、最初で話したように自賠責の確定遅延損害金への優先充当はせずに和解案を出すといってきたのです。

私は、そんなことを言われるとは夢にも思っていなかったので、裁判官に「はっ?」と言ってしまいました。裁判官には失礼でしたが、それくらい驚いたので勘弁して下さい。

その事案は、損害額がそれほど大きい事故ではなかったので、確定遅延損害金も数十万円でしたが、それでも被害者にとっては大きな金額です。

私は、すぐに自賠責の確定遅延損害金への優先充当をしない和解案であれば、和解を受けることはないので判決で結構ですと答えました。

裁判官は、慌ててほかの裁判官も自賠責の確定遅延損害金への優先充当をせずに和解案を出していると聞いていると言い訳をしてきました。仮にそれが本当であったとしても、判決にすれば、自賠責の確定遅延損害金への優先充当は必ず行われますので、和解に応じることはできません。

結局、裁判官が再度和解案を考えるということになりましたが、それなら最初から自賠責の確定遅延損害金への優先充当をして和解案を出してくれよと思ってしまいました。

はっきり言って、自賠責の確定遅延損害金への優先充当をしないなら和解はしないでしょ!

自賠責の確定遅延損害金への優先充当は数百万円になることもある!!

遅延損害金は、交通事故で発生した損害の損害額に対して発生しますので、損害額が数千万円とか1億円以上とかになると、確定遅延損害金は数百万円になることがほとんどです。交通事故で重い障害が残って、和解すると支払われる金額が数百万円も少なくなるのであれば、和解する人はいませんよね。少なくとも私は和解しません。

というか、本当に、東京地裁民事27部では、最近は自賠責の確定遅延損害金への優先充当せずに裁判所から和解案が出されているのでしょうか?私が横浜の弁護士だから裁判官になめられてしまいましたかね…

誰か、同業の方ご存じの方いましたら教えて下さい!

年末は酔っぱらって道路に寝ている人が車に轢かれる交通事故が多くなる

年末になると職場の忘年会などでお酒を飲む機会が多くなります。ほどほどに飲むのであればいいですが,飲みすぎてしまうと終電で乗り過ごしてしまって無駄なタクシー代を使ったり,帰れなくてホテルに泊まったりすることもあるので,お酒の飲みすぎには気を付けたいですね。

 タクシーを使ったり,ホテルに泊まったりして無駄なお金を使ってしまっただけなら笑い話になりますが,酔っぱらって道路に寝てしまって車に轢かれてお金よりも大事な体や命を失ってしまったら笑えません。

でも,年末になると酔っぱらって道路に寝てしまって,車に轢かれてしまい大怪我をしたり,命を落としてしまう人が多くいらっしゃいます。

 先ほど見ていたニュースでも忘年会の帰りに酔っぱらって道路に寝てしまい車に轢かれて亡くなってしまったというニュースが流れていました。

当然,こんなことで亡くなってしまったご本人もやるせないですが,ご家族はもっとやるせない気持ちになるので,酔っぱらって道路に寝てしまうことだけは絶対に止めましょう。

酔っぱらって道路に寝ていた人を轢いてしまった運転手にも民事上の責任は認められます!                                 

 酔っぱらって道路に寝ていた人を轢いてしまった運転手の責任はどうなるのでしょうか?

酔っぱらって寝ていた方が悪いのだから運転手が刑罰に問われることはないのでしょうか?

また,民事上も酔っぱらって寝ていた方が悪いのだから運転手が賠償責任を負うことはないのでしょうか?

 酔っぱらって寝ている人を見落として轢いてしまった運転手にも過失がありますので,刑事では過失運転致死傷罪の責任が問われる可能性があります(もっとも被害者の過失も大きいので,罰金や不起訴処分で終わる可能性が高いと思いますが)。

一方,民事では,やはり運転手にも過失がありますので,事故の責任が認められ賠償責任を負うことになります。

ちなみに,人身事故の場合,自動車損害賠償保障法(自賠法)3条で,運行供用者(運転手や自動車の所有者など)が自動車の運転によって他人の生命,身体に損害を負わせた場合,原則として,運行供用者が事故の責任を負うとされています。

そのため、よほどのことがない限り,酔っぱらっている人を轢いた運転手の民事上の責任が否定されることはありません。

酔っぱらって道路に寝て事故に遭って死亡しても自賠責3000万円以上の賠償金がみとめられる可能性があります!

 酔っぱらって道路に寝ていたところ轢かれて死亡してしまった場合でも賠償金はもらえるのですが,保険会社からは3000万円以下の金額しか提示されないこと多くあります。

3000万円という金額は,死亡事故で自賠責保険から支払われる限度額です。

つまり,保険会社は,自賠責保険の限度額までの提示しかしていないので,自社の負担なく賠償金を支払ったことにできます。

ひどい保険会社や共済だと,自賠責保険の請求書だけ送ってきておしまいにするようなところもあります。

 死亡した被害者の家族も「酔っぱらって寝ていたオヤジが悪いんだし」なんて考えて,保険会社の提示する金額で示談してしまうということが多くあるようです。

確かに,酔っぱらって寝ていたお父さん(お父さんとは限りませんが…)に悪いところもあったかもしれませんが,よく考えてみてください。

酔っぱらって寝ていた人はあくまでも歩行者です。

 ここで思い出してもらいたいのは,歩行者と自動車の交通事故の場合,基本的には自動車の方が責任は大きいということです。

あまりないかもしれませんが,酔っぱらって日中に道路に寝ていて自動車に轢かれてしまった場合,歩行者の過失は30%で,運転手の過失は70%になります。

夜間の場合であっても,歩行者の過失も運転手の過失も50%です。

 仮に夜間に酔っぱらって道路に寝ていたところを轢かれて死亡してしまったとして,被害者の損害額の総額が8000万円であったというケースで見てみましょう。

賠償金は単純計算で8000万円×50%=4000万円になります。

そうすると,死亡事故の自賠責保険の限度額である3000万円よりも1000万円ほど高くなります。

それにもかかわらず,保険会社が提示した3000万円の賠償金で示談してしまった場合,1000万円も損することになってしまいます。

死亡事故の場合,仕事をしていた方であれば,損害額は7000万円から9000万円程度になることが多いので,酔っぱらって道路に寝ていたところを轢かれて死亡してしまったという交通事故の場合でも,過失相殺をされたとしても自賠責保険の限度額である3000万円以上の賠償金を得られるというケースが多くあります。

このような事故でも,「酔っぱらって寝ていたオヤジが悪いんだし」なんて考えずに(お父さんとは限りませんが…),弁護士に相談をしてみてください。

ちなみに,もし,被害者が自動車保険に入っていた場合には,過失相殺によって減額された被害者の過失分も保険金として請求できる場合があるので,交通事故に詳しい弁護士に相談してみてください。

クロノス総合法律事務所では被害者の過失が大きい交通事故の相談も受け付けておりますのでお問い合わせください。

まとめ

 それでは,酔っぱらって道路に寝ていたところ轢かれてしまったという交通事故についてまとめます。

 ①運転手は刑事上も民事上も責任を負う可能性がある(民事の場合は自賠法3条があるのでほとんどのケースで賠償責任を負います)

 ②酔っぱらって道路に寝ていたところ轢かれてしまった被害者でも賠償金はもらえる

 ③被害者の過失は夜間の道路に寝ていた場合でも50%程度

 ④賠償金は自賠責保険金の限度額3000万円以上になる可能性が高い

ご参考にしていただければと思います。

解決実績

60代男性 酔って道路で寝てしまったところを車にひかれて死亡した事故 7000万円以上獲得(人身傷害保険を活用して合計7000万円以上獲得)

50代男性 労災と交通事故による死亡事故 約6000万円獲得(遺族年金の支給停止がないように和解!)

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保険会社が休業損害を支払ってくれない!

交通事故に遭って仕事を休んだ場合,通常は,休業損害証明書という書類を会社に作成してもらってそれに基づいて保険会社が被害者に休業損害を支払うことになります。

休業損害証明書は,休業の日数と事故前3ヶ月分の給与を記載する書類になります。会社員の方は,毎月固定給が支払われているので金額が一定しており,また,交通事故によって仕事を休んだことも会社が証明してくれるので,休業損害について争いになることはあまりありません。せいぜい,休業損害をいつまで支払うのかということで争いになるくらいです。

これに対して,自営業者の方は固定給があるわけではないので,休業損害の支払い基準となる日額の算定が難しいという場合がよくあります。また,仕事を休んだ日もしっかりと証明できないということもあります。

そのため,保険会社も自営業者の場合,すんなりと休業損害の支払いをすることはなく,ひどいケースでは,自賠責の休業損害の最低日額である5700円で計算した金額しか支払ってこないということがあります。もっとひどいケースでは,休業損害を計算できないと言って全く休業損害を支払ってこないということもあります。

裁判外で休業損害の支払いを保険会社に強制することはできない

保険会社が自営業者だからということで十分な休業損害の支払いをしてこない場合,まずは,一定額の休業損害を支払ってもらうよう交渉することになります。

その際,保険会社には事故前年の確定申告書を送ることになるのですが,それだけでなく,固定費が分かる資料を送って,被害者側で休業損害の支払い基準となる日額の算定をする必要があります。なぜなら,被害者側で計算をしないと先ほど説明したように最低の日額でしか支払ってこないということが多くあるからです。

それでも,被害者側で計算した金額を満額で支払ってくるというケースは少なく,被害者側で計算した金額を減額してしか支払ってこないことが多いです。

保険会社が休業損害を支払わなかったり,減額してしか支払ってこなかったとしても,裁判外では保険会社に休業損害の支払いを強制することはできません。

もちろん,粘り強く交渉を重ねてもいいのですが,仕事ができず収入が途絶えている場合には,生活ができなくなってしまうので,時間をかけて交渉を重ねることはできないということになります。

休業損害の支払いをしてくれないときは仮払仮処分

保険会社が休業損害の支払いをしてくれないときには,仮払仮処分という手続きの申立てを検討すべきです。仮払仮処分が裁判所で容認されれば保険会社に対して休業損害の支払いを強制することができます。

仮払仮処分の手続は,民事保全法23条2項の「仮の地位を定める仮処分」の1つですので,申立てを裁判所に認容してもらうためには,以下の要件を疎明する必要あります。

①被保全権利

②保全の必要性

③争いがある権利関係について債権者に生じる著しい損害又は急迫の危険を避けるために必要であること

仮払仮処分が認容されるためにはこれらの要件を被害者側で疎明しなければならないのですが,通常,「疎明」というのは「証明」ほど証明力の高い証拠を提出しなくてもいいとされています。

しかし,仮払仮処分の場合,その後の正式な裁判(本案訴訟)で実際の損害額が仮払仮処分で認容した損害額を下回り,その払い過ぎの分を保険会社側で回収できないおそれがあるため,本案訴訟と同じ程度の証拠を提出する必要があります。

そのため,被害者本人が行おうと思っても簡単にできるものではないので,仮払い仮処分の手続は弁護士に依頼する必要があります。

仮払仮処分が認容された場合には,症状固定日まで仮払仮処分で認容された休業損害が支払われることになりますので,かなり実効性のある手段です。

ですので,保険会社と休業損害で争いがある場合には,できるだけ早めに弁護士に依頼して,場合によっては仮払仮処分の手続をとって保険会社に休業損害の支払いを強制できるようにした方が賢明です。

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任意保険会社の一括対応とは?

交通事故に遭った場合,治療費など被害者の損害については,一次的には加害者の自賠責保険が負担し,自賠責保険を超える損害について加害者の任意保険が負担することになります。そうすると,この建前を貫くと,被害者は,治療費などをまず自賠責保険に請求して,自賠責保険の限度額を超えたら任意保険に請求するという煩雑な手続きを取ることになってしまいます。

被害者がこのような煩雑な手続きを取らなくていいように,任意保険会社が自賠責保険の分も一括して対応して治療費等の支払いをすることを任意保険の一括対応といいます。

任意保険会社が一括対応をしてくれれば,被害者は治療費などを自己負担することなく,任意保険会社と病院との間で直接治療費に関するやり取りをしてもらえるので,被害者としては,間違いなく任意保険会社に一括対応をしてもらった方が得策です。

後遺障害分まで任意保険会社に一括対応してもらうと,後遺障害の認定が事前認定によってなされてしまうので,任意保険会社が被害者に不利になるような資料を提出してしまうなどのおそれがあるため,あまりよくありませんが,少なくとも治療費などの傷害分については,一括対応によるデメリットはあまりないので,症状固定までは任意保険会社に一括対応してもらった方がいいと思います。

ちなみに,任意保険会社が治療費の支払いを打ち切るというのは,任意保険会社が一括対応を拒否したというだけなので,その後も症状固定まで自己負担で通院して治療を受けても全く問題はありません。

一括対応を拒否した場合の治療費の負担

被害者が初めから任意保険会社の一括対応を拒否した場合,治療費は被害者が自己負担することになります。多くの病院は,交通事故の治療は自由診療で対応していますので,一括対応を拒否した場合,病院から10割の治療費を請求されてしまうおそれがあります。

しかし,交通事故の場合,必ず自由診療でなければならないということはなく,健康保険を利用することができるので,一括対応を拒否した場合には,必ず健康保険を使って治療費を支払うようにしましょう。

また,一括対応を拒否した場合,自賠責用の診断書と診療報酬明細書が作成されません。そのため,被害者が自分で病院に自賠責用の診療報酬明細書と診療報酬明細書を作成してもらうよう依頼する必要があります。なぜかというと,後遺障害の被害者請求のときに必要になるからです。

自賠責用の診断書は依頼すればほとんどの病院が作成してくれますが,自賠責用の診療報酬明細書については,健康保険を利用した場合には,病院は健康保険用の診療報酬明細書を作成しているので,自賠責用の診療報酬明細書は作成できないと言ってくるケースがあります。病院がこのように言ってきた場合にはやむを得ないので,被害者請求の際には,健康保険用の診療報酬明細書を付けるか,最悪,病院が発行する治療費の明細書を付ければ大丈夫です。

一括対応を拒否した場合の後遺障害の請求

被害者が初めから任意保険会社の一括対応を拒否した場合,後遺障害の請求は,当然ですが,被害者請求で行うことになります。後遺障害の請求については,傷害分を一括対応してもらっていた場合でも事前認定より被害者請求の方がいいので,一括対応を拒否したことによる問題は特にないと思います。

ただ,先ほど言ったように,自賠責用の診断書や神慮報酬明細書など病院で作成してもらう資料もすべて被害者が依頼する必要があるので,その点だけ注意が必要です。

一括対応を拒否した場合には示談での解決が難しくなる

被害者がはじめから任意保険会社の一括対応を拒否した場合,任意保険会社は,怪我の内容,治療状況,治療費の総額等の情報を全く知ることができません。そのため,後遺障害が認定されて,その後,被害者から任意保険会社に対して損害賠償の請求があった時点で,初めて任意保険会社は怪我の内容,治療状況,治療費の総額等の情報を知ることになります。

任意保険会社が一括対応をした場合には,任意保険会社が総額でどれくらい支払いをしなければならないかをあらかじめ想定することができるのですが,被害者が初めから一括対応を拒否した場合には,総額でどれくらい支払いをすることになるのかを想定できないため,被害者の請求は任意保険会社にとって不意打ち的な請求となってしまいます。

任意保険会社は,被害者から送られてきた資料をもとに賠償額の検討をするしかありませんが,その資料だけでは不十分だということになれば,任意保険会社が賠償額を検討するのに必要な資料を独自に集めるということになります。

もし,裁判外で十分な資料を集めることができないとなれば,任意保険会社は示談で解決せずに,裁判を起こして裁判所の手続によって資料を集めて争うということもあります。

実際に,私が担当した事件で,被害者が初めから任意保険会社の一括対応を拒否して,軽度な怪我なのに2年近く通院を続けたという件では,示談で解決することはできず,裁判をすることになってしまいました。

任意保険会社の一括対応は,少なくとも症状固定までは被害者にとってデメリットは少なく,メリットの方が大きいので,多少,任意保険会社の担当者が気に食わなかったとしても,症状固定までは一括対応してもらうようにしましょう。

自賠責保険の仮渡金とは?

交通事故に遭って被害者の方が亡くなったり,負傷した場合に,ご遺族や被害者本人に葬儀費や治療費など当座の費用がないという場合に,自賠責保険に対して一定額を請求できるという制度があります。これを自賠責保険の仮渡金といい,自動車損害賠償保障法17条で被害者やそのご遺族に認められた権利になります。

仮渡金の制度は,請求手続きを簡便にして迅速に一定金額を支払うことにより被害者やご遺族の保護を図るという点にあります。

このような制度趣旨であるため,仮渡金は被害者や遺族だけが請求でき加害者が請求することはできません。また,自動車損害賠償保障法16条の被害者請求と比べて,請求書に添付する書類が少なく迅速に支払いがなされるという特徴があります。

どのような場合に仮渡金を請求できる?

仮渡金が請求できる場合,請求できる金額は以下の表のとおりです(自動車損害賠償保障法施行令5条)。

仮渡金が請求できる場合金額
死亡した場合290万円
①脊柱の骨折で脊髄を損傷したと認められる症状を有する場合
②上腕または前腕の骨折で合併症を有する場合
③大腿または下腿の骨折した場合
④内臓の破裂で腹膜炎を併発した場合
⑤14日以上病院に入院することを要する傷害で,医師の治療を要する期間が30日以上の場合
40万円
⑥脊柱の骨折
⑦上腕または前腕の骨折
⑧内臓の破裂
⑨病院に入院することを要する傷害で,医師の治療を要する期間が30日以上の場合
⑩14日以上病院に入院することを要する傷害
20万円
⑪11日以上医師の治療を要する傷害を受けた場合5万円

仮渡金の請求に必要な資料

仮渡金の請求に必要な資料は以下の表のとおりです。

傷害の仮渡金請求死亡の仮渡金請求
①支払請求書
②請求者の印鑑証明書
③交通事故証明書
④事故発生状況報告書
⑤診断書
①支払請求書
②請求者の印鑑証明書
③交通事故証明書
④事故発生状況報告書
⑤死亡診断書または死体検案書
⑥省略のない戸籍(除籍)謄本

自賠法16条の被害者請求の場合,傷害分の請求であっても診断書のほかに診療報酬明細書が必要になりますが,仮渡金の請求には診療報酬明細書は必要ありません。

仮渡金は自賠責保険会社から返還を求められることがある

仮渡金は,上記のとおり迅速な支払いをすることにより被害者やその遺族を保護することを目的としていますので,支払いの時点で,加害者に事故発生の責任があるかどうか(有無責)の調査をしっかりとせずに支払いがされます。

そのため,後から実は加害者に事故発生の責任がなく被害者だけに事故発生の責任があるという場合や被害者の損害が支払った仮渡金を下回る場合には,仮渡金を支払った自賠責保険会社は,仮渡金を受け取った被害者またはその遺族に対して返還請求することができます(自賠法17条3項)。

自賠責保険の重過失減額とは?

自賠責保険の重過失減額とは,交通事故の被害者に7割以上の過失がある場合に,被害者の過失割合に従って定められた減額割合に基づいて自賠責保険金を減額するという制度です。

被害者の過失割合が10割のときには免責となり自賠責保険金はおりませんので,被害者の過失割合が7割以上10割未満のときに重過失減額が適用されるということになります。
被害者の重過失による減額割合は以下のとおりです。

減額適用上の被害者の過失割合減額割合
後遺障害又は死亡に係るもの傷害に係るもの
7割未満減額なし減額なし
7割以上8割未満2割減額2割減額
8割以上9割未満3割減額
9割以上10割未満5割減額

重過失減額の可能性がある場合は被害者請求で意見を述べた方がいい

このように自賠責保険金の重過失減額が認められてしまうと,傷害の損害(治療費,休業損害等)では2割,後遺障害,死亡の損害は2割から5割も減額されてしまいます。

例えば,死亡事故で被害者に7割の過失がある場合には,死亡の自賠責保険金3000万円から減額分600万円が控除されて2400万円になってしまいます。

自賠責は「事故発生状況報告書」という書類で交通事故の状況を把握するのですが,もし,交差点の信号の色などに争いがあり,被害者不利な判断がされた場合には重過失減額が適用されるおそれがあるときは,被害者請求の際に事故状況について被害者に有利な過失割合となる事故状況であったという意見を述べる必要があります。

以前,私が担当した事件で,二輪車が反対車線に転回(Uターン)したところ反対車線を直進してきた自動車に衝突されて,二輪車の運転手が重度の障害を負ったという交通事故がありました。転回した二輪車と直進の自動車では,過失割合は7割対3割となります。

ところが,実況見分調書を取り付けたところ自動車に時速20km以上の速度超過があったことが分かりました。

自動車に時速20km以上の速度超過があれば,当然,過失割合は7割対3割から被害者に有利に変更になるので,被害者の過失割合は7割を下回ることになります。

そこで,被害者請求の際に,実況見分調書を証拠に被害者の過失割合が7割以下になるという意見を述べたところ,重過失減額されずに後遺障害等級どおりの自賠責保険金が支払われました。

自賠責の調査事務所は,重過失減額の調査については,加害者側の保険会社に加害者側の意見を照会するなどの調査はしていないようなので,被害者が証拠を付けて意見を述べれば,被害者に有利に判断される可能性が高いように思われます。

重過失減額されるおそれがあるときは積極的に意見を述べるようにしましょう。

自賠責で重過失減額されていると裁判でも不利になるおそれがある

裁判所は,自賠責が判断した後遺障害の認定に拘束されないので,自賠責と違った後遺障害の判断をすることができます。

これは,過失割合についても同じで,自賠責で重過失減額がされたとしても,裁判で過失割合を争うことは可能です。

しかし,やはり自賠責で重過失減額がされていると,裁判所も自賠責の判断と大きく異なった判断をすることはためらいがあると思います。

そうすると,自賠責で重過失減額がされていると,裁判所も被害者に不利な過失割合で判断する可能性が高くなってしまうおそれがあります。

重過失減額を争う方法

自賠責で重過失減額をされても争う方法があります。

まずは,自賠責に対して重過失減額に関する異議申立てをして争うという方法です。

最も有力な証拠は警察が作成した実況見分調書ですので,実況見分調書に過失割合を被害者に有利に変更できるような事情があれば,その事情を主張して異議申立てをすることになります。

次に,自賠責に対する異議申立てでも重過失減額に変更がなかった場合には,自賠責保険・共済紛争処理機構の紛争処理の調停で争う方法があります。

自賠責保険・共済紛争処理機構とは,自動車損害賠償保障法に定められた公的な機関で,自賠責保険や自賠責共済の支払いに関して争いがあるときに,中立・公正な立場で紛争の解決を図ることを目的としています。

調停の申請には費用が掛かりませんので,後遺障害に関して異議申立てをしても変更がなかった場合によく利用する機関です。

当然,重過失減額についても争うことができますので,異議申立てをしても変更にならなかったときには,自賠責保険・共済紛争処理機構への紛争処理の調停の申請をすることを考える必要があります。

ただし,自賠責保険・共済紛争処理機構で下された判断は,裁判外でこれ以上争うことはできませんので,十分な証拠をそろえて調停の申請をする必要があります。

自賠責の後遺障害と労災の障害の認定基準は同じ

自賠責の後遺障害は1級から14級までありますが,これは労災の障害補償の障害等級表に準じた内容になっていますので,自賠責の後遺障害の認定基準と労災の障害認定基準は同じということになります。

例えば,交通事故でよくあるむち打ち症による神経症状14級の場合,正式には,自賠法施行令別表第2に規定されている第14級9号の「局部に神経症状を残すもの」という基準に該当した時に認定されます。

労災の障害認定基準を規定した労働者災害補償保険法施行規則別表第1の第14級9号も「局部に神経症状を残すもの」という基準になっています。

自賠責と労災で認定された後遺障害が一致しないことがある

このように,自賠責は労災の障害認定基準を準用しているので,通勤災害のように自賠責も労災も使えるような場合,認定される後遺障害は必ず同じ等級になるように思えます。

ところが,自賠責で認定された後遺障害と労災で認定された障害等級が一致しない,もしくは一方で後遺障害認定されたのにもう一方では非該当だったということが時々あります。

認定された後遺障害の等級が一致しなかったり,一方で後遺障害認定されたのにもう一方で非該当だったということが生じる大きな原因として以下の2つが考えられます。

①後遺障害診断書等の資料に症状固定時に残っている症状がしっかりと書かれていない

②後遺障害の有無や程度を判断するために必要な検査結果が労災と自賠責で異なっている

症状がしっかりと書かれていない

症状はあくまでも自覚症状であったり,家族など被害者の周囲の人の申告に基づいて後遺障害診断書等の資料に記載される主観的なものですので,症状の捉え方が医師によって違うということが生じてきてしまいます。

特に,高次脳機能障害のように認知機能障害や人格障害の程度よって後遺障害等級が変わってくる障害になると,後遺障害診断書以外に障害の程度を確認するための資料があるのですが,同じ被害者のことでも障害の程度が違って記載されているということが時々あります。

このような場合に,自賠責の認定と労災の認定が異なってくるということがあります。

検査結果が自賠責と労災で異なっている

後遺障害診断書等の資料には,通常は,残っている症状が後遺障害に該当するかを確認するのに必要な検査結果が記載されています。

例えば,機能障害であれば,関節可動域の検査結果が記載されています。

この検査結果が自賠責と労災で異なっているということがあります。

後遺障害認定の際に提出する資料は,自賠責と労災で異なっているのですが,その資料を自賠責と労災でそれぞれ違う医師が作成するということがあります。

また,資料の作成時期も異なっているということがあります。

このように,資料を作成する医師や作成時期が違うと,検査結果も違ってくるということがあります。

先ほどの機能障害は,測定する時期によって関節の可動域の制限の程度が異なるということがよくあります。

そうすると,例えば,労災では2分の1以下の制限が認められ10級が認定されたのに,自賠責では4分の3以下の制限しか認められず12級しか認定されないという事態が生じます。

自賠責と労災で後遺障害の認定結果が違う場合にはどうすればいいか

自賠責と労災で後遺障害の認定結果が違う場合にはどうすればいいのでしょうか?

認定された後遺障害の結果に不服があるときのために,自賠責では異議申立て,労災では審査請求という制度が用意されています。

後遺障害の認定に納得がいかない場合には,この制度を利用することになります。

いずれの制度も,なぜ後遺障害が認定されなかったのか,なぜ上位の後遺障害等級が認定されなかったのかを分析した上で,認定されなかった理由を覆すだけの資料を準備する必要があります。

では,異議申立てないし審査請求の資料に,一方の有利な認定結果を用いることはできるでしょうか?

先ほどの機能障害の例で説明すると,労災で10級が認定されて,自賠責で12級しか認定されなかったときに,労災の10級の認定結果自体を自賠責の異議申立ての資料として用いるのことができるのかという問題です。

自賠責又は労災は,後遺障害の認定をする際にそれぞれ必要な調査をしていますが,これは異議申立てや審査請求でも同じです。

そうすると,異議申立てや審査請求でも後遺障害の認定基準に該当するかを症状や検査結果を記載した新たに提出した資料に基づいて判断をします。

一方の有利な認定結果は症状や検査結果を記載した資料ではありませんので,提出しても参考程度にしか用いられません。

つまり,一方の有利な認定結果は,異議申立てないし審査請求で最初の認定を覆すだけの決定的な証拠にはならないということです。

自賠責と労災で後遺障害の認定結果が違う場合には、後遺障害に強い弁護士に相談しよう!

最初に説明したように、自賠責と労災の後遺障害の認定基準は同じです。

そうすると、本来であれば、自賠責と労災の後遺障害の認定は同じ結果になるはずです。

自賠責と労災で後遺障害の認定結果が違うということは、必ず原因があるはずです。

後遺障害の認定結果が違う理由は、後遺障害診断書等に認定基準を満たす内容が記載されていないということが多いと思います。

後遺障害診断書等に認定基準を満たす内容が記載されてない場合には、認定基準を満たすような内容を記載してもらうようにしなければなりません。

そのためには、後遺障害の認定基準をしっかりと理解している必要があります。

自賠責と労災で後遺障害の認定結果が違う場合には、後遺障害の認定基準をしっかりと理解している後遺障害に強い弁護士に相談しましょう!

クロノス総合法律事務所は、後遺障害の異議申立て、審査請求をして後遺障害の認定結果を変更した実績が多くあります。

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行政書士が被害者請求するのって弁護士法違反にならないの?

後遺障害の認定の手続きは被害者請求で行った方がいいという話をしました(「事前認定と被害者請求ってどっちがいいの?」をご覧ください。)。ただ,被害者請求は後遺障害の認定に必要な資料を自分で集めなければならないので少し面倒です。しかし,事前認定にすると,保険会社の担当者が被害者にとって不利な資料を提出してしまうかもしれません。そうすると,誰かに代わりに被害者請求の手続きを手伝ってもらいところです。

では,被害者請求は誰に手伝ってもらったらいいのでしょうか?

被害者請求は自賠法16条に基づく請求ですので,本来,被害者請求を代理することができるのは弁護士だけです。ところが,現在では,多くの行政書士が被害者請求の代理業務を行っています。弁護士法72条は,弁護士以外の法律事務の取り扱いを禁止していますが,行政書士が自賠法16条に基づく被害者請求を行うことは,弁護士法72条違反とならないのでしょうか?

大阪高裁平成26年6月12日は,行政書士が交通事故の被害者と締結した自賠責保険の申請手続き・書類作成等の準委任契約は,弁護士法72条に反するものであり,公序良俗に反するため無効であるという判断をしました。

通常は,被害者請求の手続きにおいては,被害者の方の症状を確認して,どのような後遺障害等級が認定されるかを予測し,その予測のもと,被害者の方にアドバイスをすることが必要となります。また,予測した後遺障害等級が認定されない場合には,自賠責保険に対して異議申立てをする必要があります。
そうすると,自賠法16条に基づく被害者請求は,将来法的紛争が発生することが十分に予測される手続ですので,弁護士法72条の法律事件に関する法律事務に該当します。

そうだとすれば,行政書士が自賠法16条に基づく被害者請求の代理をすることは,弁護士以外が法律事務を取り扱うことを禁止している弁護士法72条に違反すると考えるのが妥当です。おそらく,代理だけでなく,被害者請求に関するアドバイスをすることも弁護士法72条違反になるでしょう。

被害者請求の報酬は弁護士と行政書士どっちが高い?

このように,行政書士が被害者請求を代理したり,アドバイスしたりすることは弁護士法72条に違反すると考えられますが,現状,多くの行政書士がホームページ等で被害者請求に関して集客をしている以上,行政書士に被害者請求の手続きを依頼することを考えている方もいらっしゃると思います。
そこで,弁護士と行政書士の被害者請求の報酬を比較してみたいとおもいます。
弁護士が被害者請求の手続きを代理して行う場合,日弁連リーガルアクセスセンター(LAC)の基準に基づいて契約することが多いと思います。
LACでは,被害者請求を含む事案簡明な自賠責保険の請求は,着手金・報酬方式ではなく,手数料方式で行うように規定されています。手数料は,自賠責保険金が150万円以下の場合は3万円,150万円を超える場合は2%と規定されています。

一方,行政書士の報酬をみると,着手金が3万円から5万円,報酬が自賠責保険金の15%から20%とするところが多いようです。

以下の表は,被害者請求の手続きの弁護士の手数料と行政書士の報酬を比較した表です(※自賠責保険金が150万円以下の場合3万円)。

後遺障害等級自賠責保険金弁護士手数料(2%)※行政書士報酬(20%)
1級(別表Ⅰ)¥40,000,000¥800,000¥8,000,000
2級(別表Ⅰ)¥30,000,000¥600,000¥6,000,000
1級(別表Ⅱ)¥30,000,000¥600,000¥6,000,000
2級(別表Ⅱ)¥25,900,000¥518,000¥5,180,000
3級¥22,190,000¥443,800¥4,438,000
4級¥18,890,000¥377,800¥3,778,000
5級¥15,740,000¥314,800¥3,148,000
6級¥12,960,000¥259,200¥2,592,000
7級¥10,510,000¥210,200¥2,102,000
8級¥8,190,000¥163,800¥1,638,000
9級¥6,160,000¥123,200¥1,232,000
10級¥4,610,000¥92,200¥922,000
11級¥3,310,000¥66,200¥662,000
12級¥2,240,000¥44,800¥448,000
13級¥1,390,000¥30,000¥278,000
14級¥750,000¥30,000¥150,000

このように弁護士の手数料に比べて,行政書士の報酬の方が非常に高額であることが分かります。

弁護士費用特約があるの使えなかった!

このように,被害者請求の手続きに関する行政書士の報酬が非常に高額であるため,保険会社は,弁護士費用特約が付いていても行政書士の報酬を支払わないという方針をとるようになりました。
そうすると,弁護士費用特約があるにもかかわらず,行政書士の報酬の支払いに弁護士費用特約が使えず被害者の方が自己負担しなければならないというケースが非常に増えています。
さらに,東京海上日動火災は,平成27年10月1日以降の約款から,弁護士費用特約で報酬を支払う対象から行政書士を除外しています。この約款の規定は,行政書士の被害者請求の報酬について支払いを拒否することを明確にしたものと思われます。

被害者請求から弁護士に依頼しましょう

行政書士は,後遺障害認定があった後に,保険会社と示談交渉をすることができませんので,結局は,示談交渉を弁護士に依頼することになります。
行政書士の報酬がこれだけ高額で弁護士特約も使えないのであれば,被害者請求の手続きから弁護士に依頼した方が賢明ということになります。

事前認定って何?被害者請求って何?

交通事故にあった方でも「事前認定」や「被害者請求」という言葉はあまり聞いたことがないと思います。私も弁護士になるまで知りませんでしたし、交通事故の分野を担当していなければ弁護士さんの中にも知らない方がいるかもしれません。

「事前認定」と「被害者請求」はそれくらい一般的に馴染みのない言葉ということです。

「事前認定」と「被害者請求」の説明をする前に、交通事故にあった場合に民事での解決の流れを確認しておきましょう。

 

①事故発生→②通院・入院→③症状固定→④後遺障害認定→⑤示談、裁判等で解決

 

という流れになります。詳しくは「交通事故の解決までの流れ」をご覧下さい。

 

「事前認定」と「被害者請求」は④後遺障害認定に関係する言葉です。後遺障害とは、事故によって怪我をして治療を続けたけど、症状が残ってしまった状態をいいます。

「事前認定」は、加害者側の任意保険会社を通じて後遺障害の認定を受ける手続きです。

「被害者請求」は、被害者の方もしくはその代理人が自賠責保険会社に対して直接後遺障害の請求をして後遺障害認定を受ける手続きです。

 

事前認定と被害者請求は、いずれも後遺障害の認定を受ける手続きということになります。

 

事前認定と被害者請求はどっちがいいの?

では、後遺障害の認定を受ける場合、事前認定と被害者請求ではどっちの手続きがいいのでしょうか?

事前認定は、被害者の方に代わって任意保険会社が後遺障害の認定に必要な資料を集めますので、後遺障害の認定に当たっては被害者の方の負担はかなり少ないです。

一方、被害者請求は、被害者や被害者の代理人が後遺障害の認定に必要な資料を集めることになります。

そうすると、事前認定の方が保険会社の担当者が後遺障害の認定に必要な資料を集めてくれるし楽でいいじゃん!って思われるかもしれませんが、これは大きな間違いです。

 

先日も書きましたが任意保険会社の担当者はできるかぎり被害者に支払う賠償金を低額に抑えようとします(「敵(損保会社)は味方のふりをする」をご覧ください)。後遺障害が認定されると後遺障害逸失利益後遺障害慰謝料が認められますので、賠償金が跳ね上がります。

認定される等級によっては賠償金が数千万円という金額になりますので,保険会社の担当者はできるだけ低い後遺障害等級,もしくは非該当になって欲しいと考えます。

以前,私が担当した事件で保険会社の担当者が症状は軽いから後遺障害はないという内容の資料を事前認定の手続きで提出しているということがありました。

ここが事前認定の一番危険なところなのです。つまり,事前認定だと資料の収集や提出を保険会社の担当者に任せることになってしますので,後遺障害等級が低くなったり,非該当になるような資料を提出されてしまう可能性があるということです。

一方,被害者請求は,被害者の方もしくはその代理人が資料を集めますので,後遺障害が認定されるのに必要十分な資料を自賠責に提出することができます。そのため,想定していた後遺障害等級が認定されなかったり,非該当になったりというリスクが事前認定の場合に比べて格段に低くなります。

 

症状に見合った後遺障害の認定を受け,適正な賠償金を支払ってもらうためには,後遺障害の認定は,被害者請求で行うべきです。

後遺障害の異議申立てによって後遺障害等級が上がれば慰謝料が増額する!

後遺障害の異議申立てとは,認定された後遺障害等級に不服がある場合や後遺障害が非該当であった場合に,自賠責保険に対して不服を申し立てる制度です。

後遺障害は,1等級違うだけでも後遺障害慰謝料の金額が大きく変わってきます。

以下の表は,弁護士基準の後遺障害慰謝料の金額の一覧表です。

後遺障害等級が上がれば後遺障害慰謝料だけで数十万円から数百万円単位で金額が上がることがお分かりいただけると思います。

特に非該当の場合は、後遺障害慰謝料は0円になってしまうため、後遺障害の異議申立てによって後遺障害の認定を受けることが重要であることがお分かりいただけると思います。

後遺障害等級弁護士基準の後遺障害慰謝料
後遺障害1級2800万円
後遺障害2級2370万円
後遺障害3級1990万円
後遺障害4級1670万円
後遺障害5級1400万円
後遺障害6級1180万円
後遺障害7級1000万円
後遺障害8級830万円
後遺障害9級690万円
後遺障害10級550万円
後遺障害11級420万円
後遺障害12級290万円
後遺障害13級180万円
後遺障害14級110万円
非該当0円

後遺障害の異議申立てによって後遺障害等級が上がれば逸失利益が増額する!

後遺障害の異議申立てによって非該当から等級が認定されたり、等級が上がった場合には逸失利益も増額します。

逸失利益は、年収に労働能力喪失率と中間利息を控除する係数であるライプニッツ係数をかけて計算します。

つまり、労働能力喪失率が高ければ逸失利益も高い金額になるということです。

当然、後遺障害が非該当の場合は、逸失利益は0円ですので、後遺障害の異議申立てによって後遺障害認定を受けることが非常に重要です。

後遺障害等級労働能力喪失率
後遺障害1級100%
後遺障害2級100%
後遺障害3級100%
後遺障害4級92%
後遺障害5級79%
後遺障害6級67%
後遺障害7級56%
後遺障害8級45%
後遺障害9級35%
後遺障害10級27%
後遺障害11級20%
後遺障害12級14%
後遺障害13級9%
後遺障害14級5%

後遺障害の異議申立ては交通事故に強い弁護士に任せましょう!

ただし,後遺障害の異議申立てで非該当から認定を受けたり、等級を上げるのは簡単なことではありません。

後遺障害の認定基準を理解して、その認定基準を満たすような異議申し立てをする必要があります。

後遺障害の内容によっては、後遺障害が認定されるために医学的な検査や画像所見などが必要となります。

そのため,後遺障害の異議申立てにはそれぞれの後遺障害に関する知識と医学的な知識が必要となります。

また、異議申立ての根拠となる資料の収集には非常に手間も時間もかかりますので、被害者の方がご自身で後遺障害の異議申立てをするのはハードルが高いと思います。

交通事故に強くない弁護士は異議申立ては時間と手間がかかる、そもそも分からないからという理由で断ることもあります。

しかし,被害者の方が適切な賠償を受けるためには,適切な後遺障害の認定を受ける必要があります。

自分の症状に照らして認定された後遺障害では納得がいかないという場合には,後遺障害の異議申立ての手続をとることをお勧めします。

ただし、後遺障害の異議申立てを被害者自身が行うのはハードルが高いので、後遺障害の異議申立ては交通事故に強い弁護士に任せましょう!

当事務所は、むちうちで非該当から14級が認定された事案、高次脳機能障害で非該当から7級が認定された事案など後遺障害の異議申立てをして後遺障害が認定された事案が多くあります。

ぜひ、後遺障害の異議申立てはクロノス総合法律事務所にご相談ください!

電話、メール、LINEでお問い合わせ下さい。

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