クロノス総合法律事務所 神奈川県弁護士会所属

交通事故 賠償・補償の豆知識池袋暴走事故の裁判で飯塚幸三被告が事故は車両の故障が原因と主張~飯塚幸三被告の主張は通るのか~

公開日:
2021.04.29
更新日:
2026.06.17
交通事故 交通死亡事故 裁判

車両の故障によって事故が発生?

2021年4月27日に、池袋暴走事故の運転手飯塚幸三被告の被告人質問が東京地裁で行われました。

飯塚被告は、当初からの主張を崩さず車両の故障によって事故が発生したとして無罪の主張をしたようです。
個人的には、ブレーキとアクセルの踏み間違いの可能性が高いようにも思いますが、弁護士としては、被告人本人が踏み間違いではなく車両の故障だと主張している以上、その主張を尊重しなければなりませんので、飯塚被告の主張を非難するつもりは一切ありません。
ただ、交通事故の被害者側の事件を多く手掛けている弁護士としては、被害者や被害者家族の気持ちを考えると、何とも言えない気持ちになります。

では、飯塚被告の車両の故障という主張は刑事裁判で通るのでしょうか?
私自身、これまで多くの交通事故の事件を取り扱ってきましたが、被告が車両の故障で事故が起きたという主張をしたという事件を担当したことがありませんので、飯塚被告の主張はあまりない主張なのではないかと思います。
ただ、刑事事件の場合は、検察側が車が故障していなかったことを証明しなければなりません。検察側がどのように車が故障していなかったことを証明するのか疑問に思ったので、少し調べてみました。

イベントデータレコーダーで記録されている

最新の車には、イベントデータレコーダー(EDR)というものが搭載されているそうです。 イベントデータレコーダーは、車両速度、アクセル操作、エンジンスロットルの開度、エンジン回転数、ブレーキペダルの操作、ブレーキオイル圧力、加速度、ヨーレイトなどを記録するもので、エアバックの電子制御ユニットに内蔵されているそうです。飛行機で言うところのブラックボックスのようなものです。

イベントデータレコーダーで、ブレーキペダルの操作が記録されるということなので、飯塚被告が主張している時点で本当にブレーキペダルの操作が行われたかを確認することができるということになります。

もし、イベントデータレコーダーでブレーキペダルの操作が記録されていなかったら、飯塚被告はブレーキペダルの操作をしていなかったということになります。一方で、アクセルペダルの操作がされているという記録は残っていると思われますので、合理的に考えて、故障ではなく飯塚被告がブレーキペダルと間違えてアクセルペダルを操作していたと推測が成り立ちそうです。

おそらく検察側は、イベントデータレコーダーの記録に基づいて、アクセルペダルの操作が行われ、ブレーキペダルの操作が行われていなかったことを証明して、飯塚被告の主張を崩すのではないかと思います。そうすると、飯塚被告の主張は刑事裁判で通らない可能性が高いように思われます。

民事裁判にもイベントデータレコーダーを

ちなみに、私がこれまでに担当した民事事件では、イベントデータレコーダーが証拠で出されたことはありません。 民事事件でも、どの時点でブレーキをかけたのか、そもそもブレーキをかけたのかということが争点になることが多いので、イベントデータレコーダーを証拠として提出できるようになるといいのですが。

実際には、イベントデータレコーダーは加害運転手の車両のものが重要になりますので、被害者側でイベントデータレコーダーを取得するためには、裁判上の手続きで行う必要がありそうです。そうすると、民事事件で、被害者側がイベントデータレコーダーを証拠として提出するにはかなり高いハードルがありそうです。

池袋暴走事故は民事裁判も始まっている

話は変わりますが、池袋暴走事故は、民事裁判もすでに始まっているようです。被害者が亡くなっているので損害額の算定ができるため、民事裁判を提訴したのでしょうが、おそらく民事裁判でも飯塚被告は無責(事故の責任がない)の主張をしていると思われます。
そうすると、民事裁判も長く続きそうですね。せめて被害者のご家族が報われるような慰謝料が認められて欲しいですね。

弁護士 竹若暢彦

弁護士 竹若暢彦

クロノス総合法律事務所の代表弁護士の竹若暢彦です。当事務所は、交通事故の被害者側専門の法律事務所です。多数の交通事故の被害者側の解決実績がありますので、交通事故の被害にお悩みの方は一度ご相談ください。

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