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脊髄損傷

脊髄損傷とは

脊髄損傷については聞きなれた言葉ですので、おおよそのイメージはつくと思います。脊髄とは、運動系、感覚系、自律神経系の伝導路のことを言います。簡単に言っていますと体の動きや感覚などをつかさどっている神経の束のことを言います。脊髄は、脊椎によって守られていますが、交通事故などで強い衝撃が脊椎に加わると、普段は脊椎によって守られている脊髄にまで衝撃が及び損傷することがあります。これを脊髄損傷といいます。

脊髄は、体の動きや感覚をつかさどっている神経ですので、これを損傷すると損傷部位より下位の運動機能と感覚機能に障害が生じます。例えば、頚髄を損傷すると両手両足が麻痺して動かせなくなったり、膀胱や肛門にも障害が生じるので自分で排せつがコントロールできなくなったりします。また、温度を感じなくなったりもします。

脊髄損傷の後遺障害認定

脊髄損傷の後遺障害等級は、麻痺の程度やどの程度介護を必要とする状態であるかによって、1級から12級まで区分されます。なお、麻痺の程度は以下のように区分されます。

区分麻痺の程度
四肢麻痺左右の両手両足の麻痺
片麻痺左右どちらかの両手両足の麻痺
対麻痺両手もしくは両足の麻痺
単麻痺左右どちらかの手または足の麻痺
後遺障害等級認定区分麻痺の程度及び介護の程度
1級せき髄症状のため、生命維持に必要な身の回りの処理の動作について常に他人の介護を要するもの①高度の四肢麻痺が認められる
②高度の対麻痺が認められるもの
③中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの
④中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの
2級せき髄症状のため、生命維持に必要な身の回りの処理の動作について随時介護を要するもの①中等度の四肢麻痺が認められるもの
②軽度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの
③中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの
3級生命維持に必要な身の回りの処理の動作は可能であるが、せき髄症状のために労務に服することができないもの①軽度の四肢麻痺が認められるもの
②中等度の対麻痺が認められるもの
5級せき髄症状のため、きわめて軽易な労務のほかにすることができないもの①軽度の対麻痺が認められるもの
②一下肢の高度の単麻痺が認められるもの
7級せき髄症状のため、軽易な労務以外の労務に服することができないもの一下肢の中等度の単麻痺が認められるもの
9級通常の労務に服することができるが、せき髄症状のため、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの一下肢の軽度の単麻痺が認められるもの
12級通常の労務に服することができるが、せき髄症状のため、多少の障害を残すもの①運動性、支持性、巧緻性及び速度についての支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺を残すもの
②運動障害は認められないものの、広範囲にわたる感覚障害が認められるもの

脊髄損傷の後遺障害認定も画像所見が重要となります。レントゲンで脊髄の状態は確認できませんが、脊髄を保護している脊椎が骨折、脱臼をしていないかを確認する必要があります。また、MRIやCTで脊髄の損傷状態を確認する必要があります。

また、脊髄損傷による麻痺などの症状は、通常、受傷した脊髄が支配する支配領域に発生しますので、画像所見で確認できる脊髄損傷の高位と症状が出現している部位が整合しているという点も、後遺障害の認定において重要なポイントになります。

中心性頚髄損傷(中心性脊髄損傷)

四肢麻痺など重大な症状が出現している場合は、脊髄損傷自体を争われることはあまりありません。しかし、脊髄損傷のなかでも中心性頚髄損傷と診断された場合には、脊髄損傷自体を争われることが多くあります。

中心性頚髄損傷とは、頚髄が完全に損傷するのではなく頚髄の中心部分だけに損傷が生じる脊髄損傷をいいます。脊髄不全損傷と診断されることもあります。中心性頚髄損傷という名称からすると、重大な症状が出現するようにも思えますが、脊髄の中心部を部分的に損傷しているだけですので、時間が経つと麻痺などの症状は回復し、四肢麻痺のような重大な症状は残りません。

多くの交通事故の案件を担当していると、この中心性頚髄損傷の診断名をよく見かけます。しかし、実際に頚髄損傷を画像で確認できるケースは多くありません。なぜかというと、患者さんが麻痺(特に両腕の麻痺)を訴えていると、明確な画像所見がなくても中心性頚髄損傷と診断してしまう医師が大変多いからです。

すでに説明をしたように、脊髄損傷の後遺障害の認定では画像で脊髄が損傷していることを確認できる必要がります。そのため、中心性頚髄損傷と診断されても画像で脊髄損傷が確認されないと12級以上の後遺障害は認定されません。

このように、中心性頚髄損傷では、そのように診断されても実際に脊髄を損傷していないというケースが多くあるので、中心性頚髄損傷の診断名で上位の後遺障害が認定された場合、脊髄損傷自体を争われることが多くあります。

脊髄損傷の賠償金

脊髄損傷により四肢麻痺となり完全に介護が必要な状態になってしまった場合、逸失利益は100%で認められ、高額な将来介護費が認められますので、賠償金は非常に高額になります。そのため、保険会社は裁判せずにできるだけ示談で解決したいと考えますので、示談段階で5000万円くらいの金額を提示して示談を促すことがあります。

しかし、四肢麻痺で完全に介護が必要な状態の場合、賠償金の総額は1億円以上になることもありますので、保険会社の提案する賠償金で解決すると非常に低額な賠償金で解決してしまったということになります。

脊髄損傷のように重度の障害が残った場合に、保険会社が提示した賠償金が高額に思えたとしても、本当にその金額で示談すべきか弁護士に相談することをお勧めします。

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