事前認定って何?被害者請求って何?
交通事故にあった方でも「事前認定」や「被害者請求」という言葉はあまり聞いたことがないと思います。私も弁護士になるまで知りませんでしたし、交通事故の分野を担当していなければ弁護士さんの中にも知らない方がいるかもしれません。
「事前認定」と「被害者請求」はそれくらい一般的に馴染みのない言葉ということです。
「事前認定」と「被害者請求」の説明をする前に、交通事故にあった場合に民事での解決の流れを確認しておきましょう。
①事故発生→②通院・入院→③症状固定→④後遺障害認定→⑤示談、裁判等で解決
という流れになります。詳しくは「交通事故の解決までの流れ」をご覧下さい。
「事前認定」と「被害者請求」は④後遺障害認定に関係する言葉です。後遺障害とは、事故によって怪我をして治療を続けたけど、症状が残ってしまった状態をいいます。
「事前認定」は、加害者側の任意保険会社を通じて後遺障害の認定を受ける手続きです。
「被害者請求」は、被害者の方もしくはその代理人が自賠責保険会社に対して直接後遺障害の請求をして後遺障害認定を受ける手続きです。
事前認定と被害者請求は、いずれも後遺障害の認定を受ける手続きということになります。
事前認定と被害者請求はどっちがいいの?
では、後遺障害の認定を受ける場合、事前認定と被害者請求ではどっちの手続きがいいのでしょうか?
事前認定は、被害者の方に代わって任意保険会社が後遺障害の認定に必要な資料を集めますので、後遺障害の認定に当たっては被害者の方の負担はかなり少ないです。
一方、被害者請求は、被害者や被害者の代理人が後遺障害の認定に必要な資料を集めることになります。
そうすると、事前認定の方が保険会社の担当者が後遺障害の認定に必要な資料を集めてくれるし楽でいいじゃん!って思われるかもしれませんが、これは大きな間違いです。
先日も書きましたが任意保険会社の担当者はできるかぎり被害者に支払う賠償金を低額に抑えようとします(「敵(損保会社)は味方のふりをする」をご覧ください)。後遺障害が認定されると後遺障害逸失利益と後遺障害慰謝料が認められますので、賠償金が跳ね上がります。
認定される等級によっては賠償金が数千万円という金額になりますので,保険会社の担当者はできるだけ低い後遺障害等級,もしくは非該当になって欲しいと考えます。
以前,私が担当した事件で保険会社の担当者が症状は軽いから後遺障害はないという内容の資料を事前認定の手続きで提出しているということがありました。
ここが事前認定の一番危険なところなのです。つまり,事前認定だと資料の収集や提出を保険会社の担当者に任せることになってしますので,後遺障害等級が低くなったり,非該当になるような資料を提出されてしまう可能性があるということです。
一方,被害者請求は,被害者の方もしくはその代理人が資料を集めますので,後遺障害が認定されるのに必要十分な資料を自賠責に提出することができます。そのため,想定していた後遺障害等級が認定されなかったり,非該当になったりというリスクが事前認定の場合に比べて格段に低くなります。
症状に見合った後遺障害の認定を受け,適正な賠償金を支払ってもらうためには,後遺障害の認定は,被害者請求で行うべきです。