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頚椎捻挫(むち打ち)で14級の後遺障害が認定されて5年以上経過したら既存障害にならない

更新日:2023年10月10日

既存障害がある場合、自賠責保険金や賠償金は減額される

今回、私が担当した交通事故の裁判で交通事故の被害者に有利な判決を獲得しましたので紹介したいと思います。

判決は、頚椎捻挫(むち打ち)の既存障害の控除についてです。

まず、前提として既存障害の控除について説明します。

過去に交通事故に遭って一度後遺障害が認定され、数年後に、再度、交通事故に遭って同一部分に過去の交通事故で認定された後遺障害の等級を上回る後遺障害が認定されるということがあります。

これを加重障害といいます。

加重障害で後遺障害が認定された場合、自賠責保険では、過去の交通事故で認定された後遺障害の自賠責保険金に相当する金額を、再度認定された後遺障害の自賠責保険金から控除するという取り扱いをします。

過去の交通事故で認定された後遺障害を既存障害、同一部分に再度認定された後遺障害を現存障害といいます。

現存障害が既存障害よりも重い後遺障害等級になることを加重障害といいます。

加重障害のときに既存障害相当分の自賠責保険金を控除するという取り扱いは、自賠法施行令第2条第2項に規定されています。

自賠法施行令第2条第2項

自賠法施行令第2条第2項
法第13条第1項の保険金額は、既に後遺障害のある者が傷害を受けたことによって同一部分について後遺障害の程度を加重した場合における当該後遺障害による損害については、当該後遺障害の該当する別表に定める等級に応じる同表に定める金額から、既にあった後遺障害の該当する同表に定める等級に応ずる同表に定める金額を控除した金額とする 

例えば、過去の交通事故で頚椎捻挫(むち打ち)の症状で14級の後遺障害が認定され、数年後に再度交通事故に遭って、同じ頚部に外傷性ヘルニア後の症状で12級の後遺障害が認定された場合、外傷性ヘルニアの症状で認定された12級の後遺障害の自賠責保険金は、12級の自賠責保険金224万円から14級の自賠責保険金75万円を控除した149万円しか支払われません。

自賠法上のこの取扱いにならって、裁判所でも既存障害がある場合には、後遺障害慰謝料や逸失利益から既存障害に相当する金額や労働能力喪失率を控除して、賠償金の算定を行います。

先ほどの例で説明すると、既存障害がある場合に裁判所が認定する後遺障害慰謝料と逸失利益は以下のような金額になります。なお、金額はいずれも弁護士基準の金額になります。

【前の交通事故で頚椎捻挫の後遺障害14級が認定され、後の交通事故で外傷性ヘルニアの後遺障害12級が認定されたときの後遺障害慰謝料と逸失利益】

後遺障害慰謝料 12級290万円-14級110万円=180万円

逸失利益 事故前年の年収500万円×(14%-5%)×7.7217=347万4765円

このように既存障害がある場合、自賠責保険金も賠償金も既存障害に相当する金額を減額されてしまいます。

頚椎捻挫(むち打ち)の後遺障害の労働能力喪失期間の期間制限の問題

ところが、既存障害がある場合に、賠償金から既存障害に相当する金額を控除することが不当な場合があります。

それは、頚椎捻挫(むち打ち)の後遺障害が認定された1回目の交通事故の症状固定日からその後に発生した2回目の交通事故の発生日まで5年以上経過しているようなケースです。

なぜ、頚椎捻挫(むち打ち)の後遺障害が認定された1回目の交通事故の症状固定日からその後に発生した2回目の交通事故の発生日まで5年以上経過しているケースで既存障害に相当する金額を控除することが不当になるかというと、頚椎捻挫の後遺障害の場合、逸失利益の労働能力喪失期間が5年に制限されてしまうからです。

後遺障害というのは、本来、将来にわたって残存するものですので、原則として将来働くことができる期間はずっと後遺障害の影響があると考えることになります。

そうすると、後遺障害が残ったことに対して支払われた賠償金は、将来働くことができる期間も含めて計算がされているということになります。

交通事故による既存障害がある場合は、将来働くことができる期間の賠償金をすでにもらっているということになります。

だからこそ、既存障害がある場合は既存障害に相当する金額を賠償金から控除されることになるのですが、頚椎捻挫の後遺障害の場合は、症状固定日から5年分の賠償金しかもらっていませんので、症状固定から5年経過後の賠償金はもらっていないということになります。

つまり、1回目の交通事故による既存障害が頚椎捻挫の後遺障害である場合、症状固定日から5年以上経過した後に発生した2回目の交通事故の賠償金から、既存障害に相当する金額を控除してしまうと、前の事故で支払ってもらっていない労働能力喪失期間5年経過後の賠償金(主に逸失利益)を控除してしまうという不都合が生じてしまうのです。

このような理由から、頚椎捻挫の後遺障害が認定された1回目の交通事故の症状固定日からその後に発生した2回目の交通事故の発生日まで5年以上経過しているケースで既存障害に相当する金額を控除することが不当になるのです。

頚椎捻挫(むち打ち)の後遺障害が認定されていても2回目の交通事故で後遺障害は認定されるの?

では、そもそも1回目の交通事故で頚椎捻挫の後遺障害が認定されているのに、2回目の交通事故で同一部分に後遺障害が認定されることはあるのでしょうか。

自賠責保険の後遺障害は、労災保険で定められた障害区分を準用しているのですが、頚椎捻挫の後遺障害は、神経系統の機能又は精神の障害区分に分類されています。

この神経系統の機能又は精神の障害には、脊髄損傷やRSD(CRPS)などの後遺障害も含まれているため、1回目の交通事故で頚椎捻挫(むち打ち症)の後遺障害が認定され、2回目の交通事故で脊髄損傷やRSD(CRPS)などの神経系統の機能に関する障害が残った場合には、頚椎捻挫よりも高い等級(12級以上)の後遺障害が認定されます。

この場合、頚椎捻挫(むち打ち症)の後遺障害は既存障害になり、脊髄損傷やRSD(CRPS)の後遺障害は加重障害となります。

頚椎捻挫(むち打ち)で14級の後遺障害が認定されて5年以上経過したら既存障害にならない

では、頚椎捻挫(むち打ち)の後遺障害が認定された1回目の交通事故の症状固定日から5年以上経過してから発生した2回目の交通事故で神経系統の機能の後遺障害が認定された場合、1回目の交通事故で認定された頚椎捻挫(むち打ち)の後遺障害は既存障害として扱い、既存障害に相当する金額を2回目の交通事故の賠償金から除することになるのでしょうか。

最初の話に戻りますが、私が担当した裁判は、1回目の交通事故で頚椎捻挫(むち打ち症)の後遺障害が認定され、1回目の症状固定日から5年以上経過してから発生した2回目の交通事故でRSD(CRPS)の後遺障害が認定されたという事案でした。

この裁判では、2回目の交通事故で認定されたRSD(CRPS)の後遺障害を既存障害として、既存障害に相当する金額を控除すべきかという点が争点になりました。

裁判では、2回目の交通事故の発生が1回目の交通事故の症状固定日から5年以上経過しているという事実を重視して、1回目の交通事故で認定された頚椎捻挫(むち打ち症)の後遺障害を既存障害とはせず、既存障害に相当する金額を控除しませんでした。

この判決では、被害者が1回目の交通事故で症状固定日から5年経過した後の賠償を受けていないことを強く主張したので、この主張が受け入れられた結果となりました。

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