クロノス総合法律事務所 神奈川県弁護士会所属

交通事故 賠償・補償の豆知識ヤマト,全集配車にドライブレコーダー搭載するってよ

公開日:
2017.07.10
更新日:
2026.06.17
交通事故 自動車保険

ヤマト,全集配車にドライブレコーダー搭載するってよ

クロネコヤマトで有名なヤマト運輸がすべての集配車にドライブレコーダーを搭載するそうです。

「ヤマト、全集配車にドライブレコーダー 」(日本経済新聞)

交通事故の記録を残すこと,社員に運転の映像を視聴させて安全教育に役立てることが目的ということです。投資総額は10億円にもなるそうです。

10億円もかけてすべての集配車にドライブレコーダーを搭載するなんて儲かってる会社はやることが違うなと思ってしまいます。

しかし,どれだけ儲かっている会社でもドライブレコーダーの搭載が全く会社の利益につながらないのであれば10億円もの投資はしないと思います。

ドライブレコーダーの搭載によってヤマト運輸にどのような利益があるのか考えてみたいと思います。

交通事故による荷物の遅配がもたらす損害を減らすことができる

集配車が交通事故を起こせば,その集配車で荷物を運ぶことができなくなりますので,荷物の遅配が生じます。

荷物の遅配が生じれば,その集配車で運ぶ予定であった荷物をほかの集配車で運ばなければならなくなったり,配送ドライバーが時間外労働をしなければならなくなってしまいます。

そうすると,余計に人件費や燃料費などがかかってしまいます。

ヤマト運輸の集配車が年間でどのくらい交通事故を起こしたり,起こされたりするのかは分かりませんが,おそらくヤマト運輸が保有している集配車は何万台(もしかしたら何十万台?)もあると思いますので,そのうちの1%が交通事故を起こすだけでも会社に相当な額の損害が発生すると思います。

仮に集配車の1%程度の交通事故が発生し2000万円の損害が発生していたとして,集配車の交通事故が0になれば交通事故によって発生していた2000万円の損害を0にすることができます。

逆に言えば,交通事故が0になれば単純計算で2000万円の利益が発生するということになります。

もちろん,どんなに気を付けていても交通事故を0にすることは難しいと思いますが,交通事故の発生件数が集配車の0.5%程度になるだけでも,会社の利益が増えることに間違いはありません。

つまり,交通事故の発生を少なくできれば,交通事故による荷物の遅配がもたらしていた損害をそのまま会社の利益に転換することができるということです。

ドライブレコーダーを搭載する目的に「社員に運転の映像を視聴させて安全教育に役立てる」というのがありましたが,ドライバーの安全意識が高まれば,その分,ドライバーが起こす交通事故も少なくなると思います。

そうすれば,交通事故による荷物の遅配がもたらす損害は大きく減るのではないでしょうか。

自動車保険料などの損害保険料を下げることができる

運送会社にとって,自動車保険や荷物の損壊を補償する損害保険の保険料は収益を圧迫する大きな要因だと思います。

特に,自動車保険については,フリート契約で交通事故によって支払われた損害額の大きさによって翌年の自動車保険料の割引率が決まってきますので,損害額が大きければ,翌年の自動車保険料は割高になります。

これは,運送会社の話ではないのですが,多くの営業車を抱えている会社は,毎年のように営業車が交通事故を起こして自動車保険を使って支払う損害額が多額になるため,あまり保険料の割引が受けられず,毎年,高額な自動車保険料を支払っているという話を聞いたことがあります。

そうすると,ヤマト運輸も毎年高額な自動車保険料を支払っている可能性が考えられます。

ドライバーの安全意識が高まり集配車の交通事故が少なくなって,自動車保険を使って支払う損害額が少なくなれば,ヤマト運輸が毎年支払っている自動車保険料を下げることができます。

また,損保会社によっては,ドライブレコーダー搭載車の自動車保険料の割引をしていますので,すべての集配車にドライブレコーダーを搭載することで自動車保険料の割引を受けられるのかもしれません。

ドライブレコーダーで信号の赤青問題がなくなる

ヤマト運輸がすべての集配車にドライブレコーダーを搭載する目的に「交通事故の記録をする」というものがありますが,交通事故でよく登場するのが,信号の赤青問題です。

典型的には,信号機のある交差点での出会いがしらの事故ですが,この場合,必ずどちらかの運転手は信号を見ていなかったり,不注意で信号を見落としています。

ところが,なぜか,両方の運転手が自分が交差点に進入した時には信号の色は青だったと主張することが度々あります。

いずれかが赤信号で交差点に進入していなければ,衝突事故は発生しないのですから,必ずどちらかが嘘をついているか,記憶違いをしています。

交通事故で信号の色が問題となった場合,警察が作る交通事故の記録の中に信号サイクル表のような交差点のすべての信号の点灯時間と切り替わるタイミングを表した表が添付されます。

この信号サイクル表をもとに,運転手が信号機を確認した地点,その時の走行速度等の事実を総合して,交差点進入時の信号の色を判断するのですが,正直,それだけでは信号の色はわからないということの方が多いと思います。

その点,ドライブレコーダーがあれば,信号の色はドライブレコーダーの映像で一目瞭然ですので,信号の赤青問題は完全になくなります。

ヤマト運輸の集配車だけでなく,すべての自動車にドライブレコーダーの搭載が義務化されれば,交通事故の捜査が容易になるでしょう。

また,交通事故の民事事件においては,信号の色を問題とする責任論や過失相殺が争点ではなくなりますので,早期の解決が期待できるようになるでしょう。

いつか,すべての自動車にドライブレコーダーの搭載が義務化される日が来るのでしょうか?

※ブログタイトルは,「桐島,部活やめるってよ」をモチーフにしましたが,特に意味はありません。ごめんなさい。

弁護士 竹若暢彦

弁護士 竹若暢彦

クロノス総合法律事務所の代表弁護士の竹若暢彦です。当事務所は、交通事故の被害者側専門の法律事務所です。多数の交通事故の被害者側の解決実績がありますので、交通事故の被害にお悩みの方は一度ご相談ください。

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