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K-1の小宮山工介選手、交通事故現場で窓ガラス割り救出|【公式】横浜の交通事故に強い弁護士《クロノス総合法律事務所》

更新日:2022年3月9日

K-1の小宮山工介選手,交通事故現場で窓ガラス割り救出

乗用車とトラックが正面衝突した交通事故の現場で,K-1の小宮山工介選手がトラックの窓ガラスを肘打ちで粉砕してトラック運転手を救出したというニュースが話題になっています。

小宮山選手が運転手を救出をした後,トラックは炎上したそうですから,大変勇気のある素晴らしい行動ですね。

今回この話を取り上げたのは,小宮山選手の行動が素晴らしかったということを取り上げたかっただけでなく,法的に考えると少し問題となることもあり得るなと思い取り上げました。

小宮山選手の治療費やファイトマネーの補償は誰が払うの?

小宮山選手は,トラックの窓ガラスを肘打ちで粉砕して右肘に10針も縫う怪我を負ったそうです。これによって,9月18日に出場する予定であった試合への出場が未定になってしまったそうです。

右肘に10針も縫うけがをしたということは,今後もしばらくの間は通院が必要となります。

その際に,発生する治療費は法的には誰が負担することになるのでしょうか?また,試合を欠場してしまった場合,試合に出場すればもらえるはずであったファイトマネーの補償はされるのでしょうか?

トラック運転手に対して請求できるか?

この問題を考える際には,まず小宮山選手とトラック運転手との間でどのような法律関係が成立しているかを考える必要があります。

小宮山選手が行った救出行為は,法的に考えると民法697条が定める「事務管理」に該当すると考えられます。

事務管理とは,契約や法律の規定による義務を負っていないにもかかわらず,他人の事務を管理する意思をもってその事務を管理することを言います。

民法の本でよく上げられる事務管理の例としては,道で倒れている人を病院に連れていくことや家事になった隣家の消火活動などがあります。まさに,今回の小宮山選手の救出行為は事務管理に該当します。

事務管理の当事者は,他人の事務を管理する事務管理者と事務管理をされる本人がいます。

今回の件で言えば,事務管理者が小宮山選手で事務管理をされる本人がトラック運転手となります。

事務管理者と本人の間には,事務管理者が本人に対して事務管理の報告をする義務があったり,事務管理者が本人の利益になる費用を支払ったときは,事務管理者は本人に対して支払った費用を返還するよう請求したりすることができます。

では,今回の件で小宮山選手が怪我をしたことによって負担することになった治療費やファイトマネーの補償をトラック運転手に対して請求することはできるのでしょうか?

これは,事務管理者(小宮山選手)が,事務管理によって生じた損害を本人(トラック運転手)に対して,請求することができるかという問題になります。

事務管理は,委任という契約の条文を準用しているのですが,委任契約で認められている受任者の委任者に対する損害賠償の規定を事務管理の条文は準用していません。

そうすると,事務管理者は,事務管理をして自分が損害を負ったとしても,事務管理をされた本人に対して損害賠償の請求はできないということになります。

今回の件で言えば,小宮山選手は,治療費やファイトマネーの補償をトラック運転手に対して請求することはできないということになります。

乗用車の運転手に対して請求できるか?

次に,小宮山選手の治療費やファイトマネーの補償をもう一方の事故の当事者である乗用車の運転手に請求できるか考えてみたいと思います。

交通事故の状況が正面衝突ということしかわからないので,乗用車の運転手にどの程度の過失があったのか分かりませんが,正面衝突ということだと,どちらかのセンターラインオーバーによって今回の交通事故が発生した可能性が高いと考えられます。

もし,トラック運転手のセンターラインオーバーが原因であれば,トラック運転手と乗用車の運転手の過失割合は,100対0になります。

そうすると,乗用車の運転手に今回の交通事故の責任はないということになりますので,当然,小宮山選手の治療費やファイトマネーの補償を支払う責任を負うこともありません。

反対に,今回の交通事故の原因が乗用車の運転手のセンターラインオーバーであれば,過失割合は乗用車の運転手の100%ということになります。

では,事故の原因が100%乗用車の運転手にある場合,小宮山選手と乗用車の運転手はどのような法律関係になるのでしょうか?

小宮山選手は交通事故の当事者ではないので,乗用車の運転手が小宮山選手に対して自賠法による責任を負うということはありません。

また,民法の不法行為も,乗用車の運転手が小宮山選手に対して選手に対して加害行為を行ったわけではないので,成立しないと思います。

そうすると,残りは不当利得が成立するかです。

不当利得とは,法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け,それにより他人に損失を及ぼした場合に,利益を受けた者がその他人に利益を返還しなければならないという法律関係をいいます。

不当利得は,なかなか具体例を挙げて説明しづらいのですが,売主の詐欺によって車を買わされた買主が売買契約を取り消すと,買主と売主の間に契約関係がなくなります。

ところが,売主は売買代金を得たままになっていますので,法律上の原因なく売主が利得をしている状態にあり,買主は代金を返してもらえず損失が生じています。

このような場合に,買主が売主に対して売買代金の返還を求めることを不当利得返還請求といいます。

今回の交通事故の件でいうと,小宮山選手に治療費やファイトマネーといった損失が生じていることは明らかですが,乗用車の運転手は何か利得をしているでしょうか。

仮に,小宮山選手が救助しなければトラックの運転手が大怪我をし,本来,その治療費を乗用車の運転手が支払うはずであったとして,乗用車の運転手が治療費の支払いを免れたといえるのであれば,乗用車の運転手に利得が生じたと考えることはできるかもしれません。

もし,これを利得と考えることができれば,あとは,小宮山選手の治療費等の損失と乗用車の運転手の利得との間に因果関係が認められれば,小宮山選手は,治療費やファイトマネーの補償を乗用車の運転手に請求することが可能ということになります(因果関係は認められるでしょうか?なかなか難しい判断のように思えます)。

小宮山選手が粉砕したトラックの窓ガラスの修理代は誰が払うの?

では,最後に,小宮山選手が粉砕したトラックの窓ガラスの修理代をだれが払うことになるのか考えてみたいと思います。

小宮山選手が負担しなければならない?

形式的には,小宮山選手の行為によってトラックの窓ガラスが損壊するという損害がトラック運転手に生じていることになります。

そうすると,小宮山選手がトラックの窓ガラスの修理代を負担しないといけないようにも思えます。

しかし,人命救助をしたのに窓ガラスの修理代を小宮山選手が負担しなければならないなんて,あまりにも世知辛い世の中になってしまいます。

いくら法律でも,そこまで世知辛くはありません。

先ほど,小宮山選手とトラック運転手の関係は事務管理という法律関係が成立すると説明をしました。

事務管理の中でも,本人の身体に対する急迫の危害を免れさせるための事務管理を緊急事務管理といいます。

緊急事務管理の場合,事務管理者に悪意又は重大な過失がなく本人に発生した損害については,事務管理者が責任を負わないことが法律に明記されています。

今回の件が緊急事務管理に該当することは間違いありませんので,小宮山選手がトラックの窓ガラスの修理代を負担することはありません。

乗用車の運転手が負担する?

では,乗用車の運転手がトラックの窓ガラスの修理代を負担することはあるのでしょうか?

乗用車の運転手に事故の過失がなければ責任を負わないことは先ほど説明した通りです。

乗用車の運転手に過失があった場合は,乗用車の運転手が負担する可能性はあるのですが,それには交通事故と窓ガラスの損壊との間に相当因果関係が認められなければなりません。

救助の際に,窓ガラスを壊して運転手を救助するということは通常あり得ることなので,おそらく,交通事故と窓ガラスの損壊との間に相当因果関係は認められる可能性は高いのではないでしょうか。

相当因果関係が認められるのであれば,乗用車の運転手は窓ガラスの修理代を支払うことになります。

※今回の記事は,あくまでも法的に考えるとどのような問題が生じるかについて書いただけで,当事者がどのような行動をとったのかを書いたものではないのでご注意下さい。特に,危険を省みずに人命救助をした素晴らしい人間性を持つ小宮山選手が治療費やファイトマネーの補償を事故の当事者に請求するなんてことは考えらませんので,くれぐれも誤解なきようお願い致します。

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