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個人事業主の休業損害は簡単じゃない~節税もほどほどに~|【公式】横浜の交通事故に強い弁護士《クロノス総合法律事務所》

更新日:2022年2月23日

個人事業主の休業損害は簡単じゃない

交通事故に遭って仕事を休んだ場合,休業損害を請求することができます。

通常,会社員の方であれば,「休業損害証明書」を会社に作成してもらって,それを保険会社に提出すれば,休業損害を支払ってもらえます。

しかし,個人事業主は会社に休業損害証明書を作ってもらうことはできません。

つまり,個人事業主の場合,休業損害証明書によって収入の日額や休業日数を確認することができないので,休業損害証明書から休業による損害額を把握することができないということになります。

保険会社は,休業損害証明書によって休業による損害額を把握して支払いをするため,これを確認することができない個人事業主の方の場合,休業損害を最低額でしか支払ってこないということが多くあります。

そのため,個人事業主の被害者の方が求める休業損害を保険会社に支払わせることは簡単じゃなく,揉めることが非常に多くあります。

売上を請求することはできないけど固定費を休業損害として請求できる

個人事業主の方から休業損害の相談を受けると,多くの方から売上を休業損害として請求できないのかという質問を受けます。

確かに,個人事業主の方が仕事を休めば,それだけ売上が下がりますので,売上金額そのものを休業損害として請求したいと思う気持ちはよくわかります。

しかし,売上を上げるためには経費が必要となりますが,休業したことによって支払いを免れる経費がありますので,売上そのものを休業損害として認めてしまうと,支払いを免れた経費の分まで休業損害に含めてしまうことなってしまいます。

そのため,売上そのものが休業損害として認められることはありません。

原則として,売上ではなく所得金額が個人事業主の休業損害となります。

もっとも,家賃など毎月固定でかかる経費(固定費)については,休業しても支払わなければならない経費ですので,休業損害として請求することができます。

また,青色申告で確定申告をしている場合には,青色申告特別控除という特典を受けています。

青色申告特別控除とは,所得金額から最高65万円を控除して課税所得を下げることができるというものです。

これは,実際に支出したものではないので経費には当たりませんので,休業損害に含めることが可能です。

そうすると,所得金額に固定費と青色申告特別控除額を足した金額が個人事業主の休業損害ということになります。

確定申告をしていない場合や事業に直接関係ない費用を経費として計上していた場合は?

個人事業主の所得金額や固定費は,基本的には事故前年の確定申告書と添付書類から把握することになります。

では,確定申告をしていなかった場合にはどうなるのでしょうか?

この場合でも何かしら収入がなければ生活ができないので休業損害は認められます。

ただし,確定申告書以外の資料で収入や経費を証明しなければならないので,正確な休業損害の証明はかなり難しいといっていいでしょう。

正確な休業損害の証明ができない場合は,賃金センサスを基準に,平均賃金の50%から60%くらいの金額を収入とみて,日額の計算をすることになってしまいます。

そうすると,日額は1万円を下回るような金額になってしまいます。

また,個人事業主の方だと,事業と直接関係ない費用を経費として計上しているということがあります。

例えば,家族の携帯電話の料金を経費として計上いるような場合です。

このような場合にも,やはり,経費として計上している費用が事業と直接関係ないものであることを被害者側で証明しなければなりません。

先ほど例にあげた携帯電話の料金であれば明細があるので明細と確定申告書の決算書から事業と直接関係のない費用であることを立証できるかもしれませんが,一般的には,事業と直接関係のない費用であることを立証することはかなり難しいです。

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