残りの賠償金は慰謝料だけではないですよ!
ヤフーの検索エンジンに「交通事故」と入力すると,最上位の第2検索ワードが「慰謝料」となっています。実際に,交通事故に関係するキーワードで「交通事故 慰謝料」の検索ボリュームはかなり大きいようです。
ここでふと思ったことが,「交通事故」の最上位の第2検索ワードが,なぜ「賠償金」じゃないのだろうかってことです。弁護士の感覚ですと,交通事故の最上位の第2検索ワードは「慰謝料」よりも「賠償金」の方がしっくりきます。
「慰謝料」は,交通事故の賠償実務では,入通院慰謝料(傷害慰謝料)と後遺障害慰謝料がありますが,あくまでも賠償金を構成する損害項目の1つに過ぎません。交通事故の被害に遭ったら,慰謝料がいくらになるのか,ということ以上に,賠償金が総額でいくらになるのかということの方が気になります。
ここで再びふと思ったのですが,もしかしたら交通事故の被害に遭った人の多くが,治療費や休業損害などは保険会社からすでに支払ってもらったので,残りの賠償金は慰謝料だ!と考えて,「交通事故 慰謝料」と検索しているのかもしれないということです。
確かに,交通事故の相談を受けていると「私の場合,慰謝料はいくらになりますか」と聞かれることが度々あります。この相談者の方が,慰謝料以外に損害項目があることを理解して質問しているとは思えなかったので,「慰謝料以外にも賠償金はもらえますよ」と答えると,大抵,「えっ」という反応をされます。
このような反応をされる方は,治療費や休業損害などはすでに保険会社から支払われているので,残りの賠償金は慰謝料しかないと考えている方ばかりでした。
念のために言っておきますが,治療費や休業損害などが支払われていても,残りの賠償金は慰謝料だけではありません。
慰謝料も重要ですが逸失利益も重要ですよ!
治療費や休業損害などが支払われていた場合,残りの賠償金は,慰謝料と逸失利益です。もちろん,慰謝料も重要ですが,逸失利益はもっと重要です。
慰謝料は入通院期間や後遺障害等級によって決まってきますので,同じ入通院期間や後遺障害等級であれば,慰謝料の金額は同じになります。
一方,逸失利益は,同じ後遺障害等級であっても,収入と年齢によって金額が大きく変わってきます。収入が高く,年齢が若ければ,逸失利益は慰謝料よりも高額になることが多くあります。
例えば,年収1000万円で40歳の男性と年収500万円で50歳の男性で,いずれも後遺障害等級が9級の場合に,逸失利益がどれくらいの金額になるか確認してみましょう。
ちなみに,後遺障害9級の後遺障害慰謝料は弁護士基準で690万円で,40歳の方も50歳の方も違いはありません。
まず,年収1000万円で40歳の方の逸失利益は以下のとおりの金額となります。
1000万円×35%×14.6430=5125万500円
次に,年収500万円で50歳の方の逸失利益は以下のとおりの金額になります。
500万円×35%×11.2741=1972万9675円
いずれのケースでも後遺障害9級の後遺障害慰謝料690万円を大きく上回っています。
また,年収1000万円の40歳男性の逸失利益は,年収500万円の50歳男性に比べると,3000万円以上も高額です。後遺障害等級が同じでも,収入が高く,年齢が若いほど逸失利益が高額になるということをお分かりいただけたと思います。
保険会社は慰謝料もそうだけど逸失利益をもっと低く提示してくる
保険会社は,慰謝料も逸失利益も弁護士基準を大きく下回る金額で提示してきますが,保険会社としては,逸失利益を低い金額で抑えられた方が会社の利益になります。
そうすると,逸失利益は低い金額のまま据え置きで,慰謝料を増額して被害者の方を納得させて示談させるということが多くあります。
被害者の方としては,慰謝料ばかりに目を向けず逸失利益が弁護士基準で計算された金額になっているかということも確認する必要があります。
逸失利益は、基本的には事故前年の年収を基準にして計算しますが、事故当時20代の被害者の場合には、賃金センサスを基準に計算することもあります。被害者の属性によって計算方法に違いがあるので弁護士に相談することをお勧めします。
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