- 被害者
- 70代女性
- 後遺障害
- 併合11級(膝関節の機能障害12級、関節の機能障害12級)
- 内容
- 脛骨骨折、足首骨折
- 解決方法
- 示談
- 被害者が事故とは関係のない原因で亡くなった事案で後遺障害を前提とした逸失利益を獲得
解決実績の詳細
お母様が交通事故で足を骨折したということで同居していた息子さんからお母様の入院中にご相談をいただいたという事案です。
この事案では、怪我の内容に応じた後遺障害が認定されるようにアドバイスをすることが弁護士の重要な仕事になります。
そのほかに、交通事故の被害者となったお母様は70代とご高齢でしたが、同居していた息子さんのために家事労働をしていましたので、休業損害や逸失利益があることを前提とした内容で解決するということも重要な仕事です。
後遺障害については、足の骨折については脛骨の膝関節に近い部分と足首の骨を骨折し、プレートで内固定をして抜釘をしていませんでした。
そのため、膝関節と足関節の可動域角度が制限されていれば、膝関節と足関節の機能障害が認定されると考え、後遺障害診断書に間違った可動域角度が記載されないようにアドバイスをしました。
関節の可動域角度は、日本整形外科学会と日本リハビリテーション医学会が決定した「関節可動域表示ならびに測定法」に準拠して自賠責で認定されます。
また、「関節可動域表示ならびに測定法」には、各関節の参考可動域角度が定められていて、怪我をしていない関節については概ね参考可動域角度ないし参考可動域角度に近い角度まで動きます。
ところが、医師の中には、「関節可動域表示ならびに測定法」に定められた参考可動域角度を知らないのか、それとも適当に測定したのかは分かりませんが、参考可動域角度よりもはるかに大きい可動域角度を記載したり、反対に参考可動域角度よりもはるかに小さい可動域角度を後遺障害診断書に記載する医師がいます。
関節機能障害の場合、一度、間違った可動域角度が後遺障害診断書に記載されてしまうと、異議申立てで自賠責の認定を覆すことが難しいので、必ず正しい可動域角度を記載してもらう必要があります。
そのため、当事務所では、被害者の方が関節機能障害が認定されそうな怪我をしている事案では、毎回、後遺障害診断書に記載された可動域角度を確認して、健側の関節の可動域角度が参考可動域角度と全く異なるような可動域角度で記載されている場合には訂正をお願いしています。
今回は、後遺障害診断書を作成した病院が労災病院でしたので、膝関節と足関節の可動域角度が正確に記載されていました。
そのう上で、いずれの可動域角度も健側の可動域角度の4分の3以下に制限されていたので、それぞれ12級が認定されて、併合11級が認定される内容の後遺障害診断書を作成してもらうことができました。
しかし、問題はそのあとに発生しまして、後遺障害診断書を作成するための診断をしてからしばらくして被害者が亡くなってしまいました。
死因は事故とは関係のない原因でした。
この場合、就労可能年齢までの逸失利益や後遺障害慰謝料が認められるかが問題となります。
これについては、最判平成8年4月25日の最高裁判例がありまして、交通事故を原因としない死因の場合は、生存していたことを前提として就労可能年齢までの逸失利益が認められます。
このような考え方を「継続説」といいます。
反対に、交通事故を原因とする死因によって亡くなった場合には、当然、後遺障害が認定されていても、死亡したことを前提とした損害を請求することになります。
このような考え方を「切断説」といいます。
いずれの考え方も損保会社の担当者も理解していませんので、示談交渉では、最高裁の判例に基づいて就労可能年齢まで逸失利益が認められることを丁寧に説明する必要がありました。
最終的には、損保会社側にも弁護士がつき、弁護士は、さすがに本件が就労可能年齢まで逸失利益が認められる事案であることを理解してくれたので、就労可能年齢までの逸失利益と後遺障害慰謝料があることを前提とした解決となりました。
その結果、70歳の高齢女性が被害者ではありましたが、約1500万円を獲得して解決することができました。