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自賠責と労災で認定された後遺障害が一致しないことがある|【公式】横浜の交通事故に強い弁護士《クロノス総合法律事務所》

更新日:2023年10月10日

自賠責の後遺障害と労災の障害の認定基準は同じ

自賠責の後遺障害は1級から14級までありますが,これは労災の障害補償の障害等級表に準じた内容になっていますので,自賠責の後遺障害の認定基準と労災の障害認定基準は同じということになります。

例えば,交通事故でよくあるむち打ち症による神経症状14級の場合,正式には,自賠法施行令別表第2に規定されている第14級9号の「局部に神経症状を残すもの」という基準に該当した時に認定されます。

労災の障害認定基準を規定した労働者災害補償保険法施行規則別表第1の第14級9号も「局部に神経症状を残すもの」という基準になっています。

自賠責と労災で認定された後遺障害が一致しないことがある

このように,自賠責は労災の障害認定基準を準用しているので,通勤災害のように自賠責も労災も使えるような場合,認定される後遺障害は必ず同じ等級になるように思えます。

ところが,自賠責で認定された後遺障害と労災で認定された障害等級が一致しない,もしくは一方で後遺障害認定されたのにもう一方では非該当だったということが時々あります。

認定された後遺障害の等級が一致しなかったり,一方で後遺障害認定されたのにもう一方で非該当だったということが生じる大きな原因として以下の2つが考えられます。

①後遺障害診断書等の資料に症状固定時に残っている症状がしっかりと書かれていない

②後遺障害の有無や程度を判断するために必要な検査結果が労災と自賠責で異なっている

症状がしっかりと書かれていない

症状はあくまでも自覚症状であったり,家族など被害者の周囲の人の申告に基づいて後遺障害診断書等の資料に記載される主観的なものですので,症状の捉え方が医師によって違うということが生じてきてしまいます。

特に,高次脳機能障害のように認知機能障害や人格障害の程度よって後遺障害等級が変わってくる障害になると,後遺障害診断書以外に障害の程度を確認するための資料があるのですが,同じ被害者のことでも障害の程度が違って記載されているということが時々あります。

このような場合に,自賠責の認定と労災の認定が異なってくるということがあります。

検査結果が自賠責と労災で異なっている

後遺障害診断書等の資料には,通常は,残っている症状が後遺障害に該当するかを確認するのに必要な検査結果が記載されています。

例えば,機能障害であれば,関節可動域の検査結果が記載されています。

この検査結果が自賠責と労災で異なっているということがあります。

後遺障害認定の際に提出する資料は,自賠責と労災で異なっているのですが,その資料を自賠責と労災でそれぞれ違う医師が作成するということがあります。

また,資料の作成時期も異なっているということがあります。

このように,資料を作成する医師や作成時期が違うと,検査結果も違ってくるということがあります。

先ほどの機能障害は,測定する時期によって関節の可動域の制限の程度が異なるということがよくあります。

そうすると,例えば,労災では2分の1以下の制限が認められ10級が認定されたのに,自賠責では4分の3以下の制限しか認められず12級しか認定されないという事態が生じます。

自賠責と労災で後遺障害の認定結果が違う場合にはどうすればいいか

自賠責と労災で後遺障害の認定結果が違う場合にはどうすればいいのでしょうか?

認定された後遺障害の結果に不服があるときのために,自賠責では異議申立て,労災では審査請求という制度が用意されています。

後遺障害の認定に納得がいかない場合には,この制度を利用することになります。

いずれの制度も,なぜ後遺障害が認定されなかったのか,なぜ上位の後遺障害等級が認定されなかったのかを分析した上で,認定されなかった理由を覆すだけの資料を準備する必要があります。

では,異議申立てないし審査請求の資料に,一方の有利な認定結果を用いることはできるでしょうか?

先ほどの機能障害の例で説明すると,労災で10級が認定されて,自賠責で12級しか認定されなかったときに,労災の10級の認定結果自体を自賠責の異議申立ての資料として用いるのことができるのかという問題です。

自賠責又は労災は,後遺障害の認定をする際にそれぞれ必要な調査をしていますが,これは異議申立てや審査請求でも同じです。

そうすると,異議申立てや審査請求でも後遺障害の認定基準に該当するかを症状や検査結果を記載した新たに提出した資料に基づいて判断をします。

一方の有利な認定結果は症状や検査結果を記載した資料ではありませんので,提出しても参考程度にしか用いられません。

つまり,一方の有利な認定結果は,異議申立てないし審査請求で最初の認定を覆すだけの決定的な証拠にはならないということです。

自賠責と労災で後遺障害の認定結果が違う場合には、後遺障害に強い弁護士に相談しよう!

最初に説明したように、自賠責と労災の後遺障害の認定基準は同じです。

そうすると、本来であれば、自賠責と労災の後遺障害の認定は同じ結果になるはずです。

自賠責と労災で後遺障害の認定結果が違うということは、必ず原因があるはずです。

後遺障害の認定結果が違う理由は、後遺障害診断書等に認定基準を満たす内容が記載されていないということが多いと思います。

後遺障害診断書等に認定基準を満たす内容が記載されてない場合には、認定基準を満たすような内容を記載してもらうようにしなければなりません。

そのためには、後遺障害の認定基準をしっかりと理解している必要があります。

自賠責と労災で後遺障害の認定結果が違う場合には、後遺障害の認定基準をしっかりと理解している後遺障害に強い弁護士に相談しましょう!

クロノス総合法律事務所は、後遺障害の異議申立て、審査請求をして後遺障害の認定結果を変更した実績が多くあります。

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