横浜交通事故強い弁護士《クロノス総合法律事務所》|交通事故の慰謝料・賠償・後遺障害の相談

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慰謝料 | 【公式】横浜の交通事故に強い弁護士《クロノス総合法律事務所》

相手方が共済であったために交通事故紛争処理センターに申立てをして108万円を獲得しました。詳しくは解決実績をご確認下さい。

60代の主婦の女性の傷害慰謝料(通院慰謝料)と休業損害で300万円以上を認めさせ、10%の過失相殺をし後でも約270万円以上を獲得しました。詳しくは解決実績をご確認下さい。

 

休業損害,逸失利益,慰謝料に税金はかかりますか?

交通事故に遭うと保険会社から休業損害逸失利益慰謝料として相当額の賠償金が支払われます。

通常,金銭の支払いがあるとその支払いに対して所得税,住民税などの税金がかかってきます。

では,休業損害,逸失利益,慰謝料などの賠償金が支払われた場合,税金はかかるのでしょうか。特に,休業損害は給与の代わりとして支払われるもので,しかも,源泉徴収がされる前の金額を基準に支払われるので,所得税などの税金がかかってくるようにも思えます。

税金は法律によって課せられるものですので,法律が賠償金の課税についてどのように規定しているのか見てみたいと思います。

所得税法9条には非課税所得が列挙されており,同条1項17号には以下のように規定されています。

所得税法9条1項17号
保険業法第二条第四項に規定する損害保険会社又は同条第九項 に規定する外国損害保険会社等の締結した保険契約に基づき支払を受ける保険金及び損害賠償金で、心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するものその他の政令で定めるもの

所得税法は,保険契約に基づいて支払いを受ける損害賠償金で,心身に加えられた損害については非課税所得になるとしています。

また,所得税法施行令30条に非課税所得の内容が具体的に規定されています。

所得税施行令30条1号
損害保険契約に基づく保険金及び損害保険契約に類する共済に係る契約に基づく共済金で、身体の傷害に基因して支払を受けるもの並びに心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料その他の損害賠償金(その損害に基因して勤務又は業務に従事することができなかつたことによる給与又は収益の補償として受けるものを含む。)

所得税法施行令30条1号は,「身体の傷害に起因して支払いを受けるもの」,「勤務又は業務に従事することができなかつたことによる給与又は収益の補償として受けるもの」を非課税所得としていますので,休業損害や逸失利益は賠償金として支払われても所得税はかからないということになります。

また,「心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料」も非課税所得とされていますので,慰謝料にも所得税はかからないということになります。

なお,住民税は,所得税法の総所得金額の計算と同じ計算をすることになるので,賠償金には住民税もかからないということになります。

死亡事故の賠償金に税金はかかりますか?

死亡事故は,相続人が被害者(被相続人)の損害賠償請求権を相続するという構成をとるため,被害者(被相続人)の逸失利益や慰謝料の賠償金には相続税がかかってきそうにも思えます。

ところが,税務上は,相続人は被害者(被相続人)の損害賠償請求権を相続するものの,賠償金を相続したという扱いにはしておらず,相続人に支払われた賠償金は相続人自身の所得として扱っています。

そして,先ほど説明したように,賠償金は所得税法では非課税所得としていますので,死亡事故の賠償金に税金はかからないということになります。

また,当然ですが,相続人の固有の損害に対する賠償金は,非課税所得となりますので税金はかかりません。

なお,交通事故の被害者が一度賠償金を受け取って,その後,死亡したことにより,相続人が賠償金として支払われた金銭を相続した場合には,相続税がかかりますので注意してください。

人身傷害補償保険金には税金がかかることもある

人身傷害補償保険とは,交通事故の被害者が契約している保険会社から人身傷害事故によって被った損害について保険金が支払われるという保険で,加害者の責任の有無や被害者の過失割合に関係なく,保険約款の損害額の算定基準によって算定された金額が支払われるものです。

このように,人身傷害補償保険は,被害者に交通事故発生の過失があったとしても,それに関係なく約款で決まった保険金が支払われるので,被害者は,賠償金+保険金(自己過失分)を取得することになり,実質的には過失相殺がされずに賠償金をもらえた状態と同じになります。

人身傷害補償保険金は,基本的には,人身損害に対して支払われる保険金ですので,先ほど説明したように課税されることはありません。

しかし,被害者が死亡して相続人が人身傷害補償保険金を受け取った場合には,死亡保険金と同じ扱いを受けて所得税,もしくは相続税が課される場合があります。

賠償金の性質を有する場合

人身傷害補償保険は,加害者に責任がある場合にも保険金が支払われます。加害者に事故の責任がある場合,通常は,加害者から被害者に対して,加害者の責任割合(過失割合)に従って賠償金が支払われます。

そうすと,加害者の責任割合に相当する部分について人身傷害補償保険によって保険金が支払われた場合,その保険金は実質的には賠償金として支払われたのと同じですので,賠償金の性質を有しているということになります。

先ほどから説明をしているように,賠償金については課税されることはありませんので,人身傷害補償保険金が支払われても,賠償金の性質を有する場合には税金はかかりません。

被害者の過失割合に相当する金額

人身傷害補償保険は,死亡した被害者に過失がある場合,損害額のうち被害者の過失割合に相当する部分についても保険金が支払われます。

賠償金は,被害者に過失がある場合には,その割合に従って過失相殺され減額されますので,当然,損害額のうち被害者の過失に相当する部分については支払われません。

そうすると,損害額のうち被害者の過失割合に相当する部分に支払われた人身傷害補償保険金は賠償金の性質は有していないということになります。

損害額のうち被害者の過失割合に相当する部分に人身傷害補償保険金が支払われた場合,税務上,死亡保険金が支払われた場合と同じ取り扱いをします。

死亡保険金は,被害者が保険料を負担していた場合には相続税がかかり,相続人が保険料を負担していた場合には所得税がかかります。

そうすると,損害額のうち被害者の過失割合に相当する部分に人身傷害補償保険金が支払われた場合,損害保険料を被害者が負担していた時には,保険金に相続税がかかり,相続人が負担していた時には,保険金に所得税がかかるということになります。

事実婚の配偶者が交通事故で亡くなったらどうなる?

通常,法律上の婚姻関係のある夫婦の一方が交通事故で亡くなった場合,配偶者は,亡くなった配偶者の逸失利益などの損害賠償請求権を相続するという法律構成によって,加害者に対して損害賠償の請求をすることになります。

しかし,事実婚の場合,配偶者が交通事故によって亡くなっても,もう一方の配偶者は,法律上,亡くなった配偶者の損害賠償請求権を相続することはできません。

多くの裁判例は,この不都合を回避するために,事実婚の配偶者の扶養請求権の喪失を根拠として加害者に対する逸失利益などの損害賠償請求を認めるという法律構成をとっています。

扶養請求権の喪失を根拠に損害賠償請求を認めている多くの事例は,事実婚の夫が交通事故の被害者で,事実婚の妻が専業主婦だったり,パート収入しかなく事実婚の夫に扶養されているという事例です。

このように,事実婚の奥さんが専業主婦だったり,もしくはパート収入くらいしかない状況で事実婚の夫に扶養されているという場合であれば,扶養される権利の喪失を根拠として,加害者に対して損害賠償の請求をすることは比較的簡単に認められます(夫に前妻との間の子供がいるというような場合はまた問題が生じると思いますが)。

同性同士の事実婚の配偶者が交通事故で亡くなったらどうなる?

現在では,男女間の事実婚だけでなく,渋谷区などが戸籍上の性別が同じ同士の方たちにパートナーシップ証明書を交付するなど,同性同士で事実婚のような関係にある方もいらっしゃいます。そうすると,今後は男女間の事実婚だけでなく,同性間の事実婚の場合も含めて,配偶者が交通事故で亡くなったときに,どのような法律構成によりもう一方の配偶者が加害者に対して損害賠償の請求ができるかを考える必要があるのではないでしょうか。

もちろん,同性間の事実婚の場合で,一方の配偶者がもう一方の配偶者に扶養されているという状況であれば,男女間の事実婚の場合と同じように,扶養請求権の喪失を根拠とすることが可能だと思います。

しかし,同性間の事実婚の場合,一方がもう一方に扶養されているという状況は少ないのではないでしょうか。おそらく,二人ともが仕事を持ち一人でも生活できるだけの収入を得て生活をしていることの方が多いように思います。そうすると,同性同士で事実婚にある二人が一人で生活できるだけの収入を得ていたとすると,扶養請求権の喪失を根拠として加害者に対する損害賠償請求を認めるという法律構成はとることができないのではないかという疑問が生じます。

もちろん,この疑問は,男女間の事実婚の場合でも,扶養されていた妻が交通事故で亡くなった場合には生じてきます。

これまでの裁判例を見ていると,扶養されていた妻が亡くなった場合には,固有の慰謝料の請求しか認めず,扶養されていた妻の家事労働の逸失利益の損害賠償請求は認めていないものが多いように思います。これは,事実婚の場合には,あくまでも相続ができないため,扶養請求権の喪失を根拠とするという立場が貫かれているためだと考えられます。

そうすると,やはり同性同士の事実婚の場合,亡くなった配偶者の逸失利益の損害賠償請求は認められないというケースが多くなってしまうように思います。

法律上の婚姻関係にある場合には,扶養されていない場合でも,配偶者がなくなった場合にはその逸失利益の損害賠償が認められることと比較すると,均衡がとれていないように感じます。

固有の慰謝料は当然に請求できる

事実婚の配偶者が交通事故で亡くなった場合でも,もう一方の配偶者に固有の慰謝料請求は認められます。亡くなった配偶者の逸失利益の請求が認められないような場合には,固有の慰謝料を増額するなどして多少調整を図ることになると思います。

もちろん,固有の慰謝料の請求が認められるためには,事実婚の関係にあることを請求する側で証明することが必要です。

同性同士の事実婚の場合には,先ほど挙げたパートナーシップ証明書などは有力な証拠になるはずです。そのほかには,同居して夫婦同然の生活をしていたことを示すことができればいいので,住民票と当事者の陳述書などでも大丈夫だと思います。

解決実績

60代男性 酔って道路で寝てしまったところを車にひかれて死亡した事故 7000万円以上獲得(人身傷害保険を活用して合計7000万円以上獲得)

50代男性 労災と交通事故による死亡事故 約6000万円獲得(遺族年金の支給停止がないように和解!)

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基本的な入通院慰謝料(傷害慰謝料)の計算方法

入通院慰謝料とは,交通事故によって傷害を負い治療のために入通院をしたことに対する慰謝料をいいます。

入通院慰謝料という言い方ではなく,傷害慰謝料という言い方をすることもあります。基本的には,いずれも同じ意味で使っています。

地域によって多少異なるのですが,全国的の多くの地域では,入通院慰謝料(傷害慰謝料)は,入通院期間を基礎に赤い本の別表Ⅰを基準に計算をします。

通院期間とは事故日から症状固定日までの期間を言い,実通院日数(実治療日数)とは違います。

また,赤い本とは,日弁連交通事故相談センター東京支部が出している「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準」という本のことを言います。

おそらく,表紙が赤いので赤い本と呼ばれているのだと思います。

ちなみに,赤い本は一般の書店では販売しておらず,一般の方は,東京の霞が関にある弁護士会館3階の日弁連交通相談センター東京支部の窓口で購入する,または,同センターのホームページにある申込書をファックスするかで申し込みをして購入するしかありません。

別表Ⅰは,縦軸が通院期間,横軸が入院期間となっており,それぞれの期間で重なり合う欄にある金額を基準に入通院慰謝料(傷害慰謝料)を計算するという使い方をします。

分かりにくいので具体例で説明をしたいと思います。

例えば,交通事故によって右足を骨折して事故日から症状固定日までに1ヶ月の入院と1年間の通院をしたというケースで説明すると,入院1ヶ月と通院1年(12ヶ月)が重なり合う欄には,183万円という金額が記載されていますので,このケースの入通院慰謝料(傷害慰謝料)は183万円ということになります。

むちうちは別表Ⅱを使用して入通院慰謝料(傷害慰謝料)を計算する

先ほどの赤い本の別表Ⅰというのは,レントゲンで骨折が確認できるような他覚的所見が認められる場合に使用します。

他覚的所見がない場合には,赤い本の別表Ⅱを使用して,入通院慰謝料(傷害慰謝料)の計算をすることになります。

何が違うかというと,単純に別表Ⅰの方が金額が高く,別表Ⅱの方が金額が低いという違いになります。別表Ⅰの方が25%くらい金額が高くなっています。

むちうちは他覚的所見がない場合に下される診断ですので,別表Ⅱを使用して入通院慰謝料(傷害慰謝料)を計算することになります。

むちうちの場合入院することはあまりないのですが,別表Ⅰと別表Ⅱの比較をわかりやすくするため,先ほどの例を使って別表Ⅱの入通院慰謝料(傷害慰謝料)を見てみると,入院1ヶ月と通院1年(12ヶ月)が重なり合う欄は,136万円という金額が記載されています。

そうすると,むちうちで1ヶ月入院して退院後1年通院した場合の入通院慰謝料(傷害慰謝料)は,136万円ということになります。

別表Ⅰとくらべると,47万円も低くなってしまいます。

「『入通院期間を基礎として』別表Ⅱを使用する」に変更になった

実は,平成28年版の赤い本から,むちうちの入通院慰謝料の計算基準が多少変更になりました。以前は以下のような基準になっていました。

むちうちの入通院慰謝料の計算基準(変更前)
「むちうち症で他覚症状がない場合は別表Ⅱを使用する。この場合,慰謝料算定のための通院期間は,その期間を限度として実治療日数の3倍程度を目安とする」

このような説明になっていたため,むちうちの場合,単純に通院期間を見るのではなく,実治療日数×3を通院期間としていました。

例えば,先ほどの例で12ヶ月通院したけど,自通院日数は40日であった場合,以下の計算式ように4ヶ月を通院期間としていたということになります。

40日×3=120日 120日÷30日=4ヶ月

このように,むちうちの場合は,別表Ⅰよりも入通院慰謝料(傷害慰謝料)が低くなる別表Ⅱを使用し,さらに通院期間も実際よりも短くなってしまうので,2段階で入通院慰謝料(傷害慰謝料)が低く計算されるという基準になっていました。

しかし,平成28年の赤い本からは以下のように基準が改訂されました。

むちうちの入通院慰謝料の計算基準(変更後)
「むちうち症で他覚的所見がない場合等は入通院期間を基礎として別表Ⅱを使用する。通院が長期にわたる場合は,症状,治療内容,通院頻度を踏まえて実通院日数の3倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とする」

このように,むちうちの場合であっても,いきなり実通院日数(実治療日数)の3倍を通院期間とするのではなく,ほかの傷害と同じように,原則的には事故日から症状固定日までの通院期間を基準に別表Ⅱを使用して入通院慰謝料(傷害慰謝料)の計算をし,例外的に通院が長期間にわたる場合に,実通院日数×3を通院期間として入通院慰謝料(傷害慰謝料)を計算すると変更になりました。

先ほどの例でいうと,12ヶ月の通院が長期の通院ではないとした場合,通院期間は4ヶ月ではなく12ヶ月として入通院慰謝料(傷害慰謝料)を計算するということになります。

このように基準が変更されたのは,むちうちの裁判例を検討すると,実通院日数×3を通院期間として別表Ⅱで入通院慰謝料(傷害慰謝料)を計算した金額よりも,多くの裁判例で高額な入通院慰謝料(傷害慰謝料)を認定していたということが要因のようです。

おそらく,裁判所はむちうちでも事故日から症状固定日までの期間を通院期間として入通院慰謝料(傷害慰謝料)の計算をすることが多いのではないかと考えられます。

むちうちでも入通院慰謝料(傷害慰謝料)を安易に譲歩しないこと

このように,むちうちの入通院慰謝料(傷害慰謝料)の計算の基準は変更されましたので,保険会社が以前のように実通院日数×3を通院期間として入通院慰謝料(傷害慰謝料)を計算してきても安易に譲歩して示談してはいけません。

できる限り,事故日から症状固定日までの期間を通院期間として入通院慰謝料(傷害慰謝料)の計算するように交渉する必要があります。

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労災保険金は交通事故の賠償金から控除される

通勤中に交通事故に遭った場合には労災保険が利用できるため、治療費や休業補償を労災保険から支払ってもらっているということがあります。その場合、労災保険から支払われた治療費や休業補償は、加害者側から支払われる交通事故の賠償金から控除されることになります。

労災保険金が交通事故の賠償金から控除される理由は、労災保険金が損害の填補という性質を有していること、また、労災保険金の根拠規定である労働者災害補償保険法に労災保険金が被害者に支払われたときには、被害者の損害賠償請求権が給付者に移転する(代位する)と規定されていることにあります。

このように書くと難しく感じますが、例えば、治療費を労災保険で支払ってもらったのに、賠償金からも支払ってもらうことになると、治療費を二重で支払ってもらうことになってしまい、被害者が得をするという事態が生じます。このように、被害者が交通事故に遭って得をするような状況はよろしくないので、労災保険金によって損害が填補された場合には、その分を賠償金から差し引きますよ、ということです。

ただし、労災保険から支払われるもののうち特別支給金は、損害の填補という性質も有していませんし、代位の規定もないため、交通事故の賠償金から控除されませんので気を付けましょう。

交通事故の賠償金から控除されるのは、以下の労災保険給付になります。

・療養(補償)給付

・休業(補償)給付

・障害(補償)給付

・遺族(補償)給付

・葬祭料

・傷病(補償)年金

・介護(補償)給付

遺族(補償)年金は誰の賠償金からいつまでの分控除される?

遺族(補償)年金は、「労働者の死亡当時その者の収入によって生計を維持していた配偶者(内縁関係を含む)、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹」の受給資格者に対して給付されるものです。

遺族(補償)年金は、受給資格者のうち第一順位の者に給付されます。一方、賠償金は、死亡した被害者の賠償金を相続することになるので、相続人であれば請求することができます。そうすると、遺族(補償)年金を受給する相続人と受給しない相続人がいて、それぞれが交通事故の賠償金を請求できるということになります。

このような場合に、遺族(補償)年金の控除は、遺族(補償)年金を受給する相続人の賠償金だけから控除され、遺族(補償)年金を受給していない相続人の賠償金からは控除されません。遺族(補償)年金を受給している相続人の賠償金だけから控除することは、最高裁判所でも認められています(最判平成16年12月20日)。

また、年金ですので毎年一定金額が給付されますが、賠償金から控除する年金は将来支払われる分も含めて控除するのかという問題があります。

この問題については、最高裁は、「現実に履行された場合又はこれと同視し得る程度にその存続及び履行が確実であるということができる場合に控除の対象になる」と判断しました(最判平成5年3月24日)。つまり、すでに支給されている分と支給されていることが確定した分だけ控除され、将来分については控除されないということになります。

過失相殺がある場合の過失相殺による減額と労災保険金の控除の順番

これまで説明してきたように、労災保険金は交通事故の賠償金から控除されることになるのですが、被害者に過失があり過失相殺しなければならないときには、過失相殺による減額と労災保険金の控除はいずれが先になるかという問題があります。

例えば、治療費として労災保険から100万円の休業(補償)給付を受けていたとします。裁判では、休業損害が200万円であると認められましたが、被害者の過失が20%で加害者の過失が80%とされたとします。

この場合に、過失相殺による減額が先であれば、以下のような計算になります。

200万円(休業損害)×80%(加害者の過失)-100万円(休業給付)=60万円

過失相殺による減額が先の場合には、最終的に休業損害として支払われる賠償金は60万円ということになります。

次に、労災保険金の控除が先の場合であれば、以下のような計算になります。

(200万円(休業損害)-100万円(休業給付))×80%(加害者の過失)=80万円

労災保険金の控除が先の場合には、最終的に休業損害として支払われる賠償金は80万円ということになります。

このように、過失相殺による減額を先に行うよりも、労災保険金の控除を先に行った方が最終的に獲得できる賠償金は大きくなります。

しかし、最高裁は、過失相殺による減額を先に行い、その後に労災保険金の控除をするという判断をしています(最判平成元年4月11日)。

労災保険金の控除には損害項目による制限がある

労災保険金は、労災保険給付と同質性のある損害項目からしか控除することはできないという制限があります。以下の表は、労災保険給付と控除できる賠償金の損害項目を表にしたものです。

労災保険給付賠償金の損害項目
療養(補償)給付治療費関係
休業(補償)給付
障害(補償)給付
傷病(補償)年金
休業損害と後遺障害逸失利益の合計額
遺族(補償)給付死亡による逸失利益
葬祭料葬儀費用
介護(補償)給付介護費、将来介護費

慰謝料から労災保険金が控除されることはない!

労災保険は、業務災害や通勤災害によって労働者に負傷、疾病、障害、死亡の結果が生じたときに、労働者の保護や社会復帰を目的とした制度ですので、精神的苦痛に対する賠償である慰謝料という考え方はありません。

それに対して、交通事故の賠償は基本的には民法に基づくので、民法710条に定められている精神的損害に対する賠償請求が認められます。

先ほど説明したように、労災保険金は労災保険給付と同質性のある損害項目からしか控除されないので、労災保険給付と同質性のない慰謝料については、労災保険金が控除されないということになります。

示談書(承諾書,免責証書)は定型文になっている

交通事故の賠償を示談で解決する場合,保険会社と示談書(承諾書,免責証書と言ったりもします)を交わすことになります。

示談書は大抵保険会社が作成した定型書式を利用しますので,示談の内容は定型文になっています。

どこの保険会社も

①示談書に明記された賠償金を受領したらその他の損害賠償請求権を放棄する

②今後,裁判上,裁判外において一切の異議を申し立てない

ということが記載されています。

このような内容にすることで,後から被害者が本当だったらもっと賠償金がもらえたことに気が付いて,あらためて保険会社に請求をしたり裁判を起こしたりしても,被害者の請求が認められないようになっています。

そのため,任意保険会社の基準で計算した慰謝料や賠償金で示談してしまった場合,後から弁護士基準で計算した慰謝料や賠償金の方がはるかに高額だということが分かったとしても,再度,弁護士基準で計算した慰謝料や賠償金で保険会社に請求することはできません。

このような事態を避けるためには,保険会社から賠償金の提示をもらったときに,交通事故を専門とする弁護士に相談することが必要です。

敵(損保会社)は味方のふりをする」でも書きましたが,どんなにいい担当者でも,弁護士が介入していない段階で弁護士基準で計算した賠償金を提示してくる担当者は絶対にいません。

示談書にサインする前に気を付けた方がいいこと

弁護士基準で計算した慰謝料や賠償金がいくらなのか確認すること

しつこいかもしれませんが,示談書にサインをする前に弁護士に相談をして弁護士基準で計算した慰謝料や賠償金がどれくらいになるのかを確認するように気を付けましょう。

これは絶対に気を付けなければならないことと言っても過言ではありません。

例えば、交通事故で多いむち打ち症で6ヶ月通院した場合には、被害者に過失がなければ、通院に対する慰謝料は弁護士基準で計算する約90万円になります。

しかし、任意保険が計算する通院に対する慰謝料は高くても50万円から60万円程度です。

酷いときには、自賠責基準で計算して20万円から30万円程度しか提示してこないということもあります。

必ず弁護士基準で計算したい慰謝料どれくらいの金額になるのかは確認しましょう!以下のリンク先で交通事故の慰謝料の計算・相場について解説していますので参考にして下さい。

交通事故の慰謝料の計算・相場について徹底解説!

示談書に症状が悪化して後遺障害等級が上がったことを想定した文言を追加すること

また,なんとか自分で交渉をして弁護士基準で計算した慰謝料や賠償金になったとしても示談書にサインをする前に気を付けておいた方がいいことがあります。

それは,すべての事案で気を付けた方がいいというわけではないのですが,症状が悪化して後遺障害等級が上がる可能性がある場合です。

例えば,股関節付近の骨折後に股関節に健側の2分の1以下の可動域制限が残って後遺障害等級10級が認定され,さらに将来的に股関節に人工関節を入れる可能性があるような場合です。

将来,実際に股関節に人工関節を入れて可動域が健側の2分の1以下になった場合には,後遺障害等級が10級から8級に上がります。

このような場合には,被害者としては,人工関節にした際に必要となった手術代(治療費),通院交通費入院雑費入通院慰謝料(傷害慰謝料),等級に応じた後遺障害逸失利益後遺障害慰謝料を請求したいと思うはずです。

このような場合,示談書に何も追加で書かなかったとしても,裁判にすれば後遺障害等級8級になったことによって発生した賠償金を請求することはできます。

しかし,示談では,最初の示談書を盾にとって,保険会社が一切の交渉に応じないという可能性もあります。

そこで,症状が悪化して後遺障害等級が上がる可能性がある場合には,以下のような文言を示談書に追加して欲しいと保険会社に言った方がいいと思います。

「ただし,症状が悪化して現在の後遺障害等級を上回る後遺障害等級が認定された場合には,別途協議する。」

このような文言を示談書に入れておけば,現在の後遺障害等級を上回る後遺障害等級が認定された場合には,保険会社は示談交渉に応じざるを得ない状況になります。

保険会社も,後遺障害等級が上がった時には裁判にされるよりは示談で終わらした方が得策ですので,このような内容の文言を追記することを拒否することはありません。

実際に症状が悪化した場合にはどうしたらいい?

では,実際に症状が悪化した場合にはどうしたらいいのでしょうか?

この場合,通常の後遺障害の被害者請求と同じことをすることになります。

医師に後遺障害診断書を作成してもらい自賠責に対して後遺障害の被害者請求をします。

症状の悪化が交通事故から時間が経っていても,時効の起算日は新たに作成した症状固定日になりますので,時効の心配はありません。

注意が必要なのは自賠責用の診断書(後遺障害診断書ではなく毎月病院が治療費を保険会社に対して請求する際に作成している診断書です)の作成を病院に依頼することです。

一度示談している以上,保険会社が病院に直接治療費を支払うことがないので,手術等の治療費については,一度,被害者の方が健康保険を利用して自己負担することになります。

そうすると,被害者の方から病院に自賠責用の診断書の作成を依頼しないと,病院は自賠責用の診断書を作成してくれません。

自賠責に後遺障害の被害者請求をするときには自賠責用の診断書が必要になりますので,被害者の方が病院に自賠責用の診断書の作成を依頼しておく必要があります。

それと,領収書もしっかりと保管しておきましょう。多くの方が示談している以上保険会社にこれ以上賠償金の請求することはできないと考えてしまい,領収書を捨ててしまっていることが多くあります。

示談書にサインをする前に弁護士に慰謝料や賠償金がどれくらいになるのか相談しよう!

示談書にサインするということは、損保会社の提示する慰謝料や賠償金にそれなりに納得したからだと思います。

しかし、その金額は、もしかしたら弁護士基準で計算をすれば、慰謝料も賠償金ももっと高い金額になるかもしれません。

実際に慰謝料や賠償金がいくらになるのかは、後遺障害の有無、被害者の過失の有無、被害者の年収などによって変わってきますので、自分で判断しようと思ってなかなか簡単ではありません。

やはり、示談書にサインする前に交通事故を専門としている弁護士に慰謝料や賠償金がどれくらいになるのか相談した方が納得いく解決ができると思います。

交通事故を専門としている弁護士や交通事故に強い弁護士の探し方は以下の記事を参考にして下さい。

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残りの賠償金は慰謝料だけではないですよ!

ヤフーの検索エンジンに「交通事故」と入力すると,最上位の第2検索ワードが「慰謝料」となっています。実際に,交通事故に関係するキーワードで「交通事故 慰謝料」の検索ボリュームはかなり大きいようです。

ここでふと思ったことが,「交通事故」の最上位の第2検索ワードが,なぜ「賠償金」じゃないのだろうかってことです。弁護士の感覚ですと,交通事故の最上位の第2検索ワードは「慰謝料」よりも「賠償金」の方がしっくりきます。

「慰謝料」は,交通事故の賠償実務では,入通院慰謝料(傷害慰謝料)と後遺障害慰謝料がありますが,あくまでも賠償金を構成する損害項目の1つに過ぎません。交通事故の被害に遭ったら,慰謝料がいくらになるのか,ということ以上に,賠償金が総額でいくらになるのかということの方が気になります。

ここで再びふと思ったのですが,もしかしたら交通事故の被害に遭った人の多くが,治療費休業損害などは保険会社からすでに支払ってもらったので,残りの賠償金は慰謝料だ!と考えて,「交通事故 慰謝料」と検索しているのかもしれないということです。

確かに,交通事故の相談を受けていると「私の場合,慰謝料はいくらになりますか」と聞かれることが度々あります。この相談者の方が,慰謝料以外に損害項目があることを理解して質問しているとは思えなかったので,「慰謝料以外にも賠償金はもらえますよ」と答えると,大抵,「えっ」という反応をされます。

このような反応をされる方は,治療費や休業損害などはすでに保険会社から支払われているので,残りの賠償金は慰謝料しかないと考えている方ばかりでした。

念のために言っておきますが,治療費や休業損害などが支払われていても,残りの賠償金は慰謝料だけではありません。

慰謝料も重要ですが逸失利益も重要ですよ!

治療費や休業損害などが支払われていた場合,残りの賠償金は,慰謝料と逸失利益です。もちろん,慰謝料も重要ですが,逸失利益はもっと重要です。
慰謝料は入通院期間や後遺障害等級によって決まってきますので,同じ入通院期間や後遺障害等級であれば,慰謝料の金額は同じになります。
一方,逸失利益は,同じ後遺障害等級であっても,収入と年齢によって金額が大きく変わってきます。収入が高く,年齢が若ければ,逸失利益は慰謝料よりも高額になることが多くあります。

例えば,年収1000万円で40歳の男性と年収500万円で50歳の男性で,いずれも後遺障害等級が9級の場合に,逸失利益がどれくらいの金額になるか確認してみましょう。

ちなみに,後遺障害9級の後遺障害慰謝料は弁護士基準で690万円で,40歳の方も50歳の方も違いはありません。

まず,年収1000万円で40歳の方の逸失利益は以下のとおりの金額となります。
1000万円×35%×14.6430=5125万500円

次に,年収500万円で50歳の方の逸失利益は以下のとおりの金額になります。
500万円×35%×11.2741=1972万9675円

いずれのケースでも後遺障害9級の後遺障害慰謝料690万円を大きく上回っています。
また,年収1000万円の40歳男性の逸失利益は,年収500万円の50歳男性に比べると,3000万円以上も高額です。後遺障害等級が同じでも,収入が高く,年齢が若いほど逸失利益が高額になるということをお分かりいただけたと思います。

保険会社は慰謝料もそうだけど逸失利益をもっと低く提示してくる

保険会社は,慰謝料も逸失利益も弁護士基準を大きく下回る金額で提示してきますが,保険会社としては,逸失利益を低い金額で抑えられた方が会社の利益になります。
そうすると,逸失利益は低い金額のまま据え置きで,慰謝料を増額して被害者の方を納得させて示談させるということが多くあります。
被害者の方としては,慰謝料ばかりに目を向けず逸失利益が弁護士基準で計算された金額になっているかということも確認する必要があります。

逸失利益は、基本的には事故前年の年収を基準にして計算しますが、事故当時20代の被害者の場合には、賃金センサスを基準に計算することもあります。被害者の属性によって計算方法に違いがあるので弁護士に相談することをお勧めします。

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弁護士に依頼したら慰謝料が増額する

交通事故に遭って怪我をしたら慰謝料を請求できるということは多くの方がご存知だと思います。

交通事故の慰謝料には、交通事故の被害に遭って病院に入院したり通院したことに対して支払われる入通院慰謝料(傷害慰謝料)と自賠責保険で後遺障害の認定を受けた場合に支払われる後遺障害慰謝料があります。

慰謝料の詳しい内容については、「交通事故の慰謝料」をご覧ください。

入通院慰謝料(傷害慰謝料)も後遺障害慰謝料も自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準があります。

金額は、自賠責基準≧任意保険基準>弁護士基準の順番で高くなります。

加害者側の保険会社は、慰謝料を任意保険基準もしくは自賠責基準で計算して提示してきます。

保険会社が慰謝料を任意保険基準もしくは自賠責基準で提示してきたときに、被害者の方がご自分で慰謝料の増額の交渉をすることも可能ですが、おそらく、弁護士基準まで増額することは難しいと思います。

慰謝料を弁護士基準まで増額するには、やはり弁護士が交渉の窓口にならなければ保険会社も応じることはありません(まあ「弁護士基準」というくらいなので当たり前といえば当たり前なのかもしれませんが)。

ちなみに、任意保険基準というのは保険会社の内部的な基準なので、一般的に公開されているものではありませんが、自賠責基準の後遺障害慰謝料と弁護士基準の後遺障害慰謝料を比較すると金額に大きな差があることが分かります。

慰謝料を増額したい場合には、弁護士に依頼することをお勧めします。

事案 自賠責基準 弁護士基準
死亡※ 400~1350万円(350~1350万円) 2000~2800万円
後遺障害1級(要介護) 1650万円(1600万円) 2800万円
後遺障害2級(要介護) 1203万円(1163万円) 2370万円
後遺障害1級 1150万円(1100万円) 2800万円
後遺障害2級 998万円(958万円) 2370万円
後遺障害3級 861万円(829万円) 1990万円
後遺障害4級 737万円(712万円) 1670万円
後遺障害5級 618万円(599万円) 1400万円
後遺障害6級 512万円(498万円) 1180万円
後遺障害7級 419万円(409万円) 1000万円
後遺障害8級 331万円(324万円) 830万円
後遺障害9級 249万円(245万円) 690万円
後遺障害10級 190万円(187万円) 550万円
後遺障害11級 136万円(135万円) 420万円
後遺障害12級 94万円(93万円) 290万円
後遺障害13級 57万円(57万円) 180万円
後遺障害14級 32万円(32万円) 110万円

※死亡慰謝料は、家族内での本人の立場や扶養家族の有無によって変わってきます。

※2020年3月31日以前に発生した事故はかっこ内の金額になります。

 

弁護士に依頼したら賠償金(特に慰謝料と逸失利益)が増額する

弁護士に依頼したら増額するのは、慰謝料だけではありません、慰謝料以外の賠償金も増額します。

特に、賠償金の中で大きな割合を占める逸失利益が増額します。

逸失利益とは、交通事故によって後遺障害を負ったり、死亡したことによって将来られなくなった収入を填補する損害項目をいいます。

実は、慰謝料よりも逸失利益の方が金額が高くなることが多いので、弁護士に依頼したメリットは、慰謝料よりも逸失利益の方が大きいと思います。

逸失利益の詳しい内容については、「後遺障害逸失利益」と「死亡事故で知っておくべき知識」をご覧ください。

後遺障害逸失利益と死亡による逸失利益の計算方法は以下のとおりです。

【後遺障害逸失利益の計算方法】

基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失率期間に対応するライプニッツ係数

【死亡による逸失利益の計算方法】

基礎収入×(1-生活費控除率)×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

保険会社は、上記の計算方法のいずれかの項目もしくはすべての項目を低く見積もって、弁護士基準よりも低額な逸失利益を提示してきます。

逸失利益については、あまり一般的でないということもあり、被害者の方がご自分で保険会社相手に交渉するのは難しいといえるでしょう。

逆に言うと、逸失利益については、弁護士に依頼すれば増額できるといえるでしょう。

 

弁護士費用はどうすればいいの?

弁護士に依頼する際の最大の懸念事項といえば弁護士費用だと思います。

弁護士費用は、通常、着手金と報酬という費用体系になっています。確かに、弁護士費用は決して安い金額ではありません。

しかし、もし、ご自分の契約している自動車保険に弁護士費用特約が付いていれば、300万円までの弁護士費用は、弁護士費用特約で支払ってもらうことができます。

もちろん、弁護士費用特約を利用しても保険の等級は上がりませんので、翌年の保険料が上がってしまうという心配もいりません。

ご自分の契約している自動車保険に弁護士費用特約が付いているかは、保険会社と契約した後に保険会社から送られてきた保障内容の案内などに載っていますので、確認をしてみて下さい。

また、自動車保険に入っていなくても、弁護士費用保険に入っていれば一定額は弁護士費用保険から支払ってもらうことが可能です。

保険に全く入っていなかったとしても、現在は、交通事故については、多くの弁護士が相談料も着手金も0円としていますし、報酬については、保険会社から支払われる賠償金から支払うことができますので、被害者の方の持ち出しがなく弁護士に依頼することができると思います。

当事務所でも、相談料も着手金も無料にした弁護士費用としていますので、「弁護士費用」をご覧下さい。

 

どのような弁護士を選ぶべきか?

では、どのような弁護士を選ぶべきでしょうか。

実は、保険会社の提示する慰謝料や賠償金を増額することは、どの弁護士でも可能です。

しかし、交通事故では、例えば、後遺障害の存在が争われていたり、過失割合が争われたりする場合に、裁判で解決するしかないというケースが多くあります。

裁判になれば、加害者側は保険会社の顧問弁護士が裁判を担当することになりますが、保険会社の顧問弁護士は交通事故の裁判に大変精通しています。

そのため、裁判になっても保険会社の顧問弁護士と同じくらい、もしくはそれ以上に交通事故の裁判に精通した弁護士でないと裁判になったときに負けてしまいます。

また、裁判になれば弁護士費用や遅延損害金がつきますので、示談に比べると賠償金の総額が大きくなりますので、場合によっては、示談で解決するのではなく、積極的に裁判を起こして解決した方が被害者の方にとってメリットが大きいというケースも多くあります。

そうすると、交通事故の被害者の方が依頼すべき弁護士というのは、交通事故の裁判に精通した弁護士ということになります。

交通事故には2種類の慰謝料があることを知っておこう!

交通事故に遭ったら慰謝料がもらえるかもしれないということは多くの方が知っていると思います。

そのため、インターネットでも交通事故の被害者向けの広告で慰謝料を増額します!といった内容のものが多くあります。

でも、交通事故にあったら支払ってもらえる慰謝料って何でしょうか?

実は、交通事故の慰謝料には,入通院慰謝料(傷害慰謝料)と後遺障害慰謝料の2種類があります。

この2種類の慰謝料は、どれくらい通院したのか、後遺障害が残ったのかどうかによって、もらえるのか、もらえるとしてもどのくらいの金額になるのか違ってきます。

入通院慰謝料(傷害慰謝料)

入通院慰謝料(傷害慰謝料)とは、交通事故の被害に遭って病院に入院したり通院したことに対して支払われる慰謝料です。

多くの方が交通事故に遭ったときにもらえる慰謝料は、おそらく入通院慰謝料(傷害慰謝料)のことをイメージしていると思います。

入通院慰謝料(傷害慰謝料)は、交通事故に遭って怪我をして通院をすれば、基本的には発生します。

入通院慰謝料の名称のとおり、入院日数、通院日数、通院期間を基準に金額を算定します。

注意が必要なのは、保険会社と弁護士では入通院慰謝料の計算基準が異なるという点です。

特に入院はしてなくて通院しかしていない場合に注意が必要です。

保険会社は、通院に対する慰謝料を算定するときに実際の通院日数を基準とします。

これは自賠責が通院日数を基準に通院慰謝料を算定するためです。

一方、弁護士は、通院日数ではなくて通院期間を基準に通院慰謝料を算定します。

通院日数を基準とする場合、実際に通院した日だけしか慰謝料の対象になりません。

通院期間を基準とする場合、通院していない日も慰謝料の対象になります。

当然、通院していない日も慰謝料の対象に含める通院期間を基準とした方が通院慰謝料は高額になります。

保険会社は、被害者に賠償金の提示をするときには必ず通院日数を基準に慰謝料の算定をしています。

そのため、弁護士基準で算定しなおせば、保険会社が提示した入通院慰謝料(傷害慰謝料)よりも必ず高い金額になります。

入通院慰謝料(傷害慰謝料)は、通院日数ではなく通院期間を基準に算定すると覚えておきましょう。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料とは、自賠責保険で後遺障害の認定を受けた場合に支払われる慰謝料です。

後遺障害慰謝料は、入通院慰謝料(傷害慰謝料)と違って交通事故に遭って怪我をしてももらえないこともあります。

後遺障害慰謝料は、自賠責で後遺障害が認定されなければ支払ってもらえない慰謝料です。

後遺障害慰謝料の金額は、認定された後遺障害の等級によって違ってきます。

以下の表は、自賠責の後遺障害慰謝料になります。

後遺障害等級自賠責基準の後遺障害慰謝料
(2020年4月1日以降)
自賠責基準の後遺障害慰謝料
(2020年3月31日以前)
後遺障害1級(常時介護)1,650万円(1,850万円)1,600万円(1,800万円)
後遺障害1級(随時介護)1,203万円(1,373万円)1,163万円(1,333万円)
後遺障害1級1,150万円
(1,350万円)
1100万円
(1,300万円)
後遺障害2級998万円
(1,168万円)
958万円
(1,128万円)
後遺障害3級861万円
( 1,005万円 )
829万円
(973万円)
後遺障害4級737万円712万円
後遺障害5級618万円599万円
後遺障害6級512万円498万円
後遺障害7級419万円409万円
後遺障害8級331万円324万円
後遺障害9級249万円245万円
後遺障害10級190万円187万円
後遺障害11級136万円135万円
後遺障害12級94万円93万円
後遺障害13級57万円57万円
後遺障害14級32万円32万円

※かっこは被扶養者がいる場合

以下の表は、弁護士基準の後遺障害慰謝料になります。

後遺障害等級弁護士基準の後遺障害慰謝料
後遺障害1級2800万円
後遺障害2級2370万円
後遺障害3級1990万円
後遺障害4級1670万円
後遺障害5級1400万円
後遺障害6級1180万円
後遺障害7級1000万円
後遺障害8級830万円
後遺障害9級690万円
後遺障害10級550万円
後遺障害11級420万円
後遺障害12級290万円
後遺障害13級180万円
後遺障害14級110万円
非該当0円

このように自賠責と弁護士基準では後遺障害慰謝料の金額は大きく異なります。

保険会社は後遺障害慰謝料については、自賠責と同じ金額か自賠責を少し上回る金額しか提示してきません。

そのため、後遺障害が認定されている事案では弁護士に交渉を依頼すれば後遺障害慰謝料は増額する可能性が高いです。

詳細については「交通事故の慰謝料」をご覧下さい。

慰謝料の増額とは?(慰謝料の増額には2つの意味がある!)

交通事故の賠償に関するホームページを見ていると「慰謝料を増額します!」という広告文が見られます。

実は,慰謝料の増額には2つの意味があるということを知っておく必要があります。

1つ目の意味は,保険会社の提示する慰謝料を増額するという意味です。

通常,保険会社は,弁護士基準を大幅に下回る慰謝料しか提示しません。

例えば,後遺障害14級の弁護士基準の慰謝料は110万円です。ところが,保険会社は50万円くらいの金額しか提示してきません。

保険会社との交渉に弁護士が入ると,保険会社は50万円で提示していた慰謝料を80万円から90万円まで増額します。

これをみると,弁護士が入ったことにより慰謝料が増額しているので,「慰謝料を増額します!」という広告文に嘘はありません。

しかし,弁護士の仕事としては不十分です。

弁護士の仕事としては慰謝料を弁護士基準まで上げて,初めて保険会社の提示する慰謝料を増額したことになります。

もちろん,被害者に有利な過失割合が提示されているなどの事情がある場合には、弁護士基準を下回る慰謝料で解決することもあると思いますが,それはあくまでも例外的なケースです。

2つ目の意味は,弁護士基準の慰謝料よりも増額するという意味です。

例えば,一家の支柱が死亡した場合の慰謝料は2800万円ですが,加害者に飲酒運転をしてたというような事情がある場合,これを慰謝料増額事由として,通常2800万円の慰謝料を3000万円に増額するようなケースです。

飲酒運転以外には,慰謝料増額事由として過度な速度違反やひき逃げなどが上げられます。

ほかにもいろいろなケースがありますので,慰謝料増額事由があるとお考えの場合は,交通事故を専門にしている弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士基準の慰謝料よりも増額するというのは弁護士が入ってもそう簡単なことではありません。

少なくとも,示談では保険会社は具体的な事情は考慮せず、定型的な解決でしか応じませんので,弁護士が入っても弁護士基準の慰謝料よりも増額して解決することはかなりレアケースです。

そうすると,弁護士基準の慰謝料よりも増額するような事情がある場合には,裁判で解決する必要あります。

慰謝料の増額は交通事故専門の弁護士に相談しましょう!

交通事故に遭ったら慰謝料がもらえる可能性があります。

しかし、慰謝料の種類や慰謝料増額の意味を知らないと、適正な金額の慰謝料をもらえないおそれがあります。

保険会社は、被害者に対して、基本的には慰謝料は自賠責と同じくらい、もしくは自賠責を少し上回るくらいの金額しか提示してきません。

弁護士が入れば、基本的には保険会社は被害者に提示していた慰謝料よりも高い金額を提示してきます。

ただし、保険会社は弁護士基準の70%から80%くらいしか提示してきませんので、弁護士が入って提示された金額が弁護士基準で計算した慰謝料の100%であるのかは確認が必要です。

弁護士基準で計算した100%の慰謝料を獲得するためには、保険会社が示談で応じない場合には、裁判や裁判以外の解決機関(ADR)を利用する必要があります。

いずれにしろ、慰謝料の増額については、交通事故専門の弁護士にご相談することをお勧めします。

クロノス総合法律事務所では保険会社から提示された慰謝料が適正な金額なのか無料で査定しておりますのでご相談ください。

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